- 発行日 :
- 自治体名 : 奈良県上北山村
- 広報紙名 : 広報かみきたやま 令和7年11月号(No.692)
■皮脂欠乏性湿疹について
こんにちは。診療所所長の辻本です。
今日は皮脂欠乏性湿疹についてです。
寒くなってくると、「痒い」という訴えが多くなります。診療所ではその多くが、加齢などにより皮膚のうるおいが減ることで起こる「皮脂欠乏性湿疹(ひしけつぼうせいしっしん)」という病気によるものです。
私たちの皮膚は、もともと「皮脂」と「水分」によって守られています。ところが、加齢や寒さ、暖房による乾燥、熱いお風呂などで皮脂が減ると、肌の表面のバリアが弱くなり、水分が逃げやすくなります。すると、皮膚がカサカサになり、かゆみが出てきます。これを掻いてしまうと、赤くただれたり、ひび割れたりして、湿疹ができます。
特に足や腰、背中などによく見られます。入浴後や夜布団に入る頃に強いかゆみを感じる方が多いのも特徴です。
治療の中心は「保湿」と「炎症を抑える薬」です。診療所では、かゆみが強い場合はステロイドの塗り薬を短期間使い、落ち着いたら保湿剤を続けます。保湿剤は「薬」と考えて、毎日使うのが大切です。症状がよくなっても、やめるとまた乾燥して再発してしまいます。
ご家庭でできる予防の工夫としては、以下が一般的に言われています。
・お風呂は熱すぎない(38〜40℃くらい)程度に
・石けんやボディソープを使いすぎない
・入浴後5分以内に保湿剤を塗る
・部屋の湿度を50〜60%に保つ(加湿器や濡れタオルを利用)
・かゆいときは掻かず、冷たいタオルなどで冷やす
実は私自身、中学生の頃は背中の、今は足の皮脂欠乏性湿疹に悩まされております。個人的には「身体を洗うときにタオルを使わない」「汚れていない部分は不必要に洗わない」という対策もお勧めしています。
ばっちり良くなるとは言えませんが、皮脂欠乏性湿疹は治療・予防できる病気です。保湿を習慣にすることで、かゆみのない快適な冬を過ごしましょう。気になる症状があれば、早めにご相談ください。
