くらし 【シリーズ@じんけん】Vol.454 人権尊重都市鳥取市の実現をめざして

■パワハラのない社会へ

職場における力関係などを背景としたいじめや嫌がらせの問題(パワハラ)。パワハラをしない・させない環境づくりについて考えてみませんか。

◇パワハラに関する社会動向
パワハラとは、「パワーハラスメント」の略称であり、職場での優越的な立場を利用した嫌がらせのことです。令和2年6月に大企業の事業主へパワハラ防止を義務付ける「改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)」が施行され、令和4年4月からは、中小企業にも義務化されました。
また、男女ともに仕事と育児を両立できるよう「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)」が改正され、育児休業を取得する時などのハラスメントを防止するため、必要な措置を講じることが事業者の義務となりました。

◇パワハラの定義
・優越的な関係を背景に行われること
・業務の適正な範囲を超えて行われること
・就業環境を害すること
厚生労働省は、この3つの要素を満たす言動をパワハラと定義しています。具体的には、次の6つに類型されます。
1.身体的攻撃(暴行・傷害)
2.精神的攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)
3.人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
4.過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)
5.過小な要求(仕事を与えない、能力に比べ低い仕事を与える)
6.個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
なお、客観的にみて業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は、パワハラには該当しません。

◇ハラスメントの背景
ハラスメントが注目され始めた背景には、不況や企業合併などで経営や雇用形態が急変する中、職場の人間関係が変化し複雑化していることが考えられます。
近年では、労働者の意に反する性的な言動や行為(セクシュアルハラスメント)、妊娠・出産、不妊治療、育児休業を理由とする解雇などの不利益な取扱い(マタニティハラスメント)、顧客などからの悪質な暴言、暴行、不当な要求などの行為(カスタマーハラスメント)などが大きく取り上げられています。
ハラスメントは、労働者の就業意欲を低下させたり、精神的な障がいを引き起こします。さらには、受けた本人の失業や過労死、自死へ結びつくおそれがあり、その家族までにも影響を及ぼしかねない、重大な人権問題となります。

◇パワハラを「しない」・「させない」ために
事業者がパワハラを防止するという意思を明確に示すことが重要であり、相談窓口の設置、労働者へのアンケートの実施などによる実態把握、パワハラ防止の研修の実施などの取り組みが必要です。また、パワハラは受け流しているだけでは改善されません。本人が、パワハラを受けて苦しいという意思を伝えることも大切です。同じ職場で働く人が団結して、パワハラに対して共に立ち向かうことで、解決につながる場合もあります。
パワハラは当事者だけの問題ではありません。社会全体の問題として、一人ひとりがパワハラを許さないという意識を持つことが大切です。誰もが安心して働き、生きていくことができる社会の実現に向けて、一緒に考えていきましょう。

お問い合わせ:本庁舎人権推進課(43番窓口)
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