しごと 探索!惑星コトウラ FILE31

人も自然も豊かに息づき、そっと光る「惑星コトウラ」のヒト・モノ・コトを、レポート(観測記)として地域おこし協力隊(観測隊)が紹介します。

■PROFILE
KODAPAN(コダパン)店主
小谷沙楓(こだにさやか)さん
琴浦町出身。県外で栄養や製菓・製パンを学び、2024年にUターン。実家のパン店を受け継ぐ形で「KODAPAN」をオープン。地元食材を使ったパンやサンドを提供。週末にはイベントにも出店。

創業80余年。家族が受け継いできたパンの香りは、若きつくり手の原風景だった。
KODAPANの店主・小谷沙楓さんは、幼い頃から実家に香るその温かさに触れて育った。

◇家族の背中と、パンの香りに育まれて
毎朝4時、父が工房の明かりを灯してパンを焼く姿は、沙楓さんにとって日常の景色だった。
「特別に”職人になりたい“と思った瞬間はなくて、気づけば自分もつくっていた」と笑う。岡山の大学で栄養を学びながら、製菓・製パンの技術も磨いた。家族が続けてきた剣道にも親しみ、人との縁もその時間の中で育まれた。卒業後は県外で店を構えることも考えたが、思い浮かんだのは家業の工房の香りと家族の背中だった。
「一緒にパンをつくりたい」という気持ちが自然に地元へ向かわせた。

◇受け継ぐ味、広がる挑戦
学校給食用のパンを焼いてきた実家の「小谷パン店」。その場所で新たに店舗販売を始め、2024年6月にKODAPANをオープンした。
店内には、昔ながらの食パンや菓子パン、琴浦グランサーモンを使ったサンドイッチなど、地元の味を大切にしたパンが揃う。曜日ごとに種類を変えたり、SNSやお客さんの声をもとに新作に挑戦したりと、店づくりは日々進化している。
「曜日ごとのパンを楽しみに来てくれる常連さんがいて、その声が日々の励みになります」と沙楓さん。家族と試作を重ねる時間も、店の大切な営みだ。
海で遊び、星を眺める琴浦での暮らしもお気に入り。”同世代が帰ってこられる町にしたい“と、赤碕駅前の歩行者天国やマーケットなど、若い人が集まる企画にも意欲を見せている。
家族の歴史に、若い感性が重なるKODAPAN。この町で、そっと未来の光を灯している。