その他 松江の皆さんこんにちは。

櫻井亜木子(さくらいあきこ)

鶴田流薩摩琵琶奏者。日本琵琶楽コンクール優勝。小椋佳全国ツアー、多数アーティストの舞台、映画、アニメ音楽に参加。松江城天守閣にて演奏。NHKテレビ、ラジオに出演。「耳なし芳一」をニューヨーク、アジアソサイエティ、マサチューセッツ工科大学にて公演。

私が初めて「松江」という言葉を耳にしたのは間違いなく母からでしょう。なぜならそれは、私の祖母が茶町の生まれだから。母は茶町の傍らにある自宅前の用水路の水に産湯を浸かった事で「洋子」と名付けられたそうですが、宍道湖に浮かび上がる朝霧のように、私にとって松江は幼少の頃より少し幽玄めいた所でありました。
大人になり、琵琶仕事として松江を何度となく訪れるも、最近まで遠い親戚のいる「全国の仕事現場のひとつ」という感情に過ぎませんでした。
しかし、懇願していた結婚が叶った44歳、相手は偶然隣の中学校という地元同士だったのですが、話を聞けば彼の父親が松江出身だったのです。
更に驚くべきは…といっても、これは単に琵琶奏者としての驚きに過ぎないのかもしれませんが、夫となったその彼は、5歳の時に交通事故にあい左目の視力が極端に弱く、実は義父もこども時代に左目を怪我しているのです。
もう皆さんおわかりですよね?そう、小泉八雲と一緒。私は一人で鳥肌を感じていました。
小泉八雲の代表作である「耳なし芳一」。芳一が琵琶で弾ずる平家物語、故に琵琶奏者とは深い縁なのです。ニューヨーク公演の折には、中浦食品様が海を越え「ほういちの耳まんぢう」を送って下さったことも感動的でした。
そうそう、もうひとつ。
松江の皆さんは、旧日本銀行松江支店(現カラコロ工房)をご存じと思います。実はあの建物の外壁工事の職人が、私の母方の祖父です。当時「洗出し」と言う技法で東京から祖父が呼ばれ、一時期住まいした事で祖母と出会います。私が今いるのもそんな二人の松江での出逢い。
私にとっての松江は「単にひとつの現場」ではなく自分のルーツを語るに欠かせない場所なのです。
皆さんがこれを読まれている頃、私はサウジアラビアにいるでしょう。八雲作品、茶所の菓子、しじみパワーを世界に広めてきます。松江の皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。

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