- 発行日 :
- 自治体名 : 島根県松江市
- 広報紙名 : 市報松江 2025年12月号
自然の甘い味わい 西条柿~ほし柿~
秋の訪れとともに色づく果物、柿。本市では「西条柿」が多く栽培されています。この柿は渋柿のため、そのままでは渋くて食べられませんが、手を加えることにより糖度の高いおいしい柿になります。西条柿の加工品の一つとして、ほし柿があります。西条柿が市内で広く栽培されていることから、ほし柿も市内各地で生産されています。
ほし柿には、「あんぽ柿」と「枯露(ころ)柿」があります。水分が多くみずみずしさを感じるオレンジ色の果肉で、ゼリー状の柔らかな口当たりが特徴の「あんぽ柿」、甘み成分が結晶化した白い粉をまとい、内部までしっかり乾燥させながらも適度な柔らかさをもつのが「枯露(ころ)柿」です。
この「枯露(ころ)柿」を本市では東出雲町上意東で多く生産しており、戦国時代には毛利氏と尼子氏の戦場で携帯食として用いられていたと伝えられています。ここの土地は、水分を保持しやすい土質であり、さらに「ほし柿の里」として知られる畑地区は、標高が比較的高く、乾燥した風が吹き込む傾斜地になっており、自然環境や気候に恵まれています。
この畑地区では、今年で設立70周年を迎えた「畑ほし柿生産組合」の生産者が、西条柿の栽培からほし柿の生産まで行っています。11月になると収穫した西条柿の皮を一つ一つ手作業ではぎ、江戸時代にはすでにあったとされる「柿小屋」と呼ばれる専用の乾燥場に干していきます。天候や柿の状態を確認しながら、天日干しや補助乾燥などの行程を経て約1カ月でほし柿ができあがります。
西条柿は、柿の木の剪定作業から草刈り、夏の暑さの中での摘果作業など、生産者の皆さんが丹精込めて栽培されています。その柿から作られるほし柿、「あんぽ柿」と「枯露(ころ)柿」は、それぞれの特徴をもちながら、どちらも自然の甘みがたっぷりです。
ぜひ、ふるさとの自然と生産者の思いが詰まったほし柿を、味わってみてはいかがでしょうか。
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