文化 中海・宍道湖・大山圏域市長会通信

中海・宍道湖・大山圏域市長会は、中海と宍道湖沿岸の5市(出雲市、松江市、安来市、米子市、境港市)で構成し、圏域が一体となってさまざまな事業を展開しています。

■古代から続く5市のつながり-『出雲国風土記』からー
現在、私たちの生活を支えているのは、人や物・情報の交通・流通です。しかしモータリゼーションの発展は高度成長期以降で、それまでは船による水上交通が主役でした。

◇古代の水運と地域圏
奈良時代に作られた『出雲国風土記(いずものくにふどき)』(733年完成)から、5市のつながりを見てみましょう。5市は、その東西を中海・大橋川・宍道湖が貫いています。風土記では、この3湖川をあえて分けては呼ばず、「入海(いりうみ)」として一つの名で記します。入海は、地域内の交通・流通に大きな役割を果たしていました。米子、境港、安来は都のある東側の出入り口として、出雲は文明の先端たる大陸や九州との出入り口として重要な役割を担いました。松江は全域の水上交通をコントロールしていました。

◇国堺(くにざかい)(県境)は作られた線
『出雲国風土記』は、出雲国(いずものくに)のことを記しています。一方で伯耆国(ほうきのくに)のことも書いてあり、米子市の粟島(あわしま)神社の小山を「粟島」、境港市を「夜見島(よみのしま)」とし、江島や美保関町とのかかわりも書いています。風土記の編纂者は、中海から宍道湖の圏域を一体として見ていたのではないでしょうか。古代の国堺は国家の都合で引かれた経緯もあり、現在の県境もそれを引き継いでいるのです。

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