くらし のるイコごうつ 運用が始まっています!(2)

■江津市における移動支援の新たな取り組み
江津市では近年、公共交通機関の路線減便や廃線が相次いでおり、地域の交通環境は大きな転換期を迎えています。「地区内にバス停はあるけれど遠くて使いづらい」「減便によって、以前のように気軽に出かけられなくなるのでは」といった困りごとが懸念され、現実に地理的・時間的な交通空白が点在しています。またこれらの要因が重なることで、地域住民の移動手段はますます限られ、公共交通の利用者が減少するという悪循環が生じています。加えて、東部で唯一のスーパーマーケットの閉店や、人口減少、高齢化の進行など江津市は今、生活上必要な「移動」に関する複合的かつ深刻な課題に直面しています。
こうした課題に対応するため、様々な検討の結果、今回導入されるのが「のるイコごうつ」。市ではこれまでにも様々な交通施策を展開してきましたが、これらを組み合わせることで、より柔軟かつニーズに沿った移動支援につながると考えています。
「のるイコごうつ」は、次のような基本コンセプトに基づいて設計されています。

・便利でなければ、課題解決にはつながらない
・効果的でなければ、持続可能なサービスにはならない
・低コストで最大の効果を生むことが重要

これらの理念のもと、従来の枠にとらわれない新しい視点から、地域の移動課題の解決を目指しています。
令和6年12月から3か月間にわたり実施された実証実験では、多くの利用者から「便利である」「満足している」といった好意的な声が寄せられ、サービスの有効性が一定程度確認されました。一方で、「予約が難しい」「スマートフォンの操作に不安があるのでWEB予約はできない」といった意見も多く、特に高齢者やデジタル機器に不慣れな人にとっては、利用のハードルとなっていることが明らかになりました。
今後は、こうした課題を一つひとつ丁寧に解消しながら、より多くの市民が安心して「のるイコごうつ」を利用できるよう、サービスの改善に努め、誰もが使いやすい交通サービスを目指します。

■のるイコごうつの予約の仕方を題材にスマートフォン教室を開催しました。
利用には予約が必要なのるイコごうつ。スマートフォンやパソコンなどの操作が必要ですが、24時間365日予約ができる「WEB予約」がやはり便利です。
そこで、のるイコごうつのWEB予約の仕方にフォーカスを当てた「スマートフォン教室」を9月に運行区域の各地域コミュニティ交流センターで開催しました。
このスマホ教室は、江津工業高等学校と共同開催し、同校機械・ロボット科1年生の生徒さんは、参加者のスマートフォンを一緒に操作するなどしてわかりやすく丁寧にサポートしてくれました。
※スマートフォン教室は引き続き開催できるよう、今後実施方法などを検討していきます。

■課題への対応や利便性の向上に関する様々な取り組み
▽タクシー利用助成事業
高齢者の皆さまや運転免許証を自主返納された人の移動を支援するため、タクシー料金の一部を助成する「タクシー利用助成券」を交付しています。
〔対象者〕
江津市に住民票があり、次のいずれかに該当する者
(1)申請をする日において75歳以上の人
(2)運転免許証の自主返納をした人、または有効期限切れにより免許の効力を失った人
〔助成額〕
1枚500円のタクシー利用助成券4枚つづりを1セット(額面2,000円分)とし、これを半額の1,000円で販売(R7に購入できる上限は、15セット)

▽タクシー利用助成券のデジタル化
タクシー利用助成券の交付を受けるために、窓口に行かなくても自宅にいながら申請、支払い、交付までの手続を完結させるシステムを構築し、令和8年度中の運用開始を目標としています。

▽GTFSデータの整備・活用
情報提供体制の充実を目的に、JR駅やバス停留所のダイヤや位置情報を経路検索サービスや地図サービスへの情報提供用にデータ化し、スマートフォンなどのデジタルデバイスを通じて経路検索を容易にする仕組みを整備することで、従来のバスマップand時刻表やNAVITIMEに続く第3の情報提供ツールとして、公共交通の利便性を図ります。

▽時間帯交通空白に関する実態調査
次の施策展開に向けた実態把握を目的に、時間的空白の概念に着目し、あらゆる交通モードを横断した実態調査をとおして、どの地域にどの程度公共交通が利用できない時間があるのかを把握し、次期計画策定の基礎データとします。

▽キャッシュレス決済システムの導入
実証実験などにおいて利便性の向上が認められるとともに運用に支障がないことが確認されたので、江津市が運行する生活バスのすべてで導入を進めています。
のるイコごうつでは令和8年からキャッシュレス決済を導入する計画です。