- 発行日 :
- 自治体名 : 徳島県阿波市
- 広報紙名 : 広報あわ 2025年12月号
唾液の緩衝能(かんしょうのう)・間食のとり方・虫歯のリスクについて
阿波町高垣 にしむら歯科医院 西村崇(にしむらたかし)先生
虫歯(う蝕(しょく))は、口の中の細菌が糖分を分解して酸を作り、その酸によって歯が溶けることで発生します。これに対抗する働きを持っているのが唾液です。唾液には「緩衝能(かんしょうのう)」と呼ばれる性質があり、酸性に傾いた口の中を中性に戻す役割を果たしています。つまり、唾液がしっかり分泌され、緩衝能が高い状態であれば、虫歯になりにくい環境が保たれるのです。
しかし、間食の頻度が多いと、口の中が酸性の状態にさらされる時間が長くなり、唾液の働きが追いつかなくなってしまいます。特に、糖分を多く含むお菓子やジュースなどをだらだらと摂取すると、再石灰化(歯を修復する働き)が起こる前に新たな脱灰(だっかい)(歯が溶ける)が始まり、虫歯のリスクが高まります。
虫歯を予防するためには、間食は時間を決めて短時間で済ませることが大切です。また、キシリトール配合のガムのように唾液の分泌を促す食品を選ぶことも効果的です。さらに、日頃からよくかんで食べ、唾液の分泌を促進させること、定期的に歯科検診を受けることも予防につながります。
唾液の働きと間食の習慣を見直すことで、虫歯のリスクは大きく減らすことができます。毎日の生活の中で、ちょっとした工夫を意識してみましょう。
このコーナーは阿波市医師会・阿波歯科医師会・板野歯科医師会のご好意により提供いただいた原稿を掲載しています。
