しごと 挑戦するかがわのものづくり企業(77)

◆株式会社サムソン
【住所】観音寺市八幡町三丁目4番15号
設立:1956年
従業員数:370人
【電話】0875-25-4581
【HP】https://www.samson.co.jp/

「食品」と「蒸気」を二本柱に、ものづくりの技術だけでなく提案力や課題解決力を強みとして、次々と新たな企業価値を打ち出す香川のものづくり企業を紹介します。

■ボイラーと食品機器と提案力で脱炭素や人手不足などの社会課題に挑む
◯メンテナンス事業に注力
油やガスなどの燃料を燃やして水を温め、発生した温水や蒸気を熱源に、さまざまな産業機械を動かすボイラー。クリーニングやホテルなどの商業施設、食品加工や工業などの製造現場、医療施設や公共施設の設備をはじめ、幅広い分野で需要があります。構造によっていくつか種類があり、サムソンは蒸気をつくる「蒸気ボイラー」の中でもコンパクトで熱の伝わりが早い「貫流ボイラー」で、業界上位のシェアを確立しています。
創業時の主製品は、和菓子屋で使われる「あんこを煮る釜」でした。蒸気を用いると直火より効率的に熱を伝えることができるため、「それならボイラーも自社でつくろう」と、蒸気ボイラーの製造も手掛けるようになりました。現在も熱技術を核に、創業時からの「工場向け食品加工機器」と「蒸気ボイラー」をものづくりの二本柱としていますが、製品の機能や性能は大幅に進化。かつては5〜10年の短いスパンで買い替えるのが当たり前だった製品は、省エネ気運の高まりとともに大型化・効率化が進み、機械そのものの寿命も延びています。
そこで同社では、早くから自社製品のメンテナンス事業に力を入れ、より長く使い続けられるよう、定期点検や修理を取り入れた保守サービスを国内全域で開始。「新製品の販売機会は減りますが、どんどん作ってどんどん売る時代ではない今、一番大切にすべきところです。製品をご使用いただいている間に、さまざまな価値を、お客さまに提案したい」と、代表取締役社長の吉岡龍示(りゅうじ)さん。保守契約数は順調に伸び、メンテナンス事業の売上は全体の半分を占めるほどまで成長。「顧客満足の高さにつながっている手応えを感じる」と語ります。

◯広い視野で課題を見つめる製造ラインのトータル提案
同社のルーツである食品加工機器は、食品工場などで使われる大型製品が現在の主力で、炊く・混ぜる・煮る・蒸す・冷ますといった各調理工程の効率化を担います。「こういう商品をつくりたい」という食品メーカーの要望に対し、自社機器で実際にどういう調理ができるかを試験する『テイストルーム』で、専門スタッフが豊富なレシピや機器の運用ノウハウを提供し理想の商品づくりを支えています。
従来は機器単体での販売が中心でしたが、3年前から食品工場などの製造ライン全体を提案する『フードソリューション』が新たにスタートしました。他社製品を含めた機器の選定、工場内の動線や配置など、より広い視野で顧客の商品づくりに最適な製造環境をトータルコーディネートします。商品開発ノウハウ、自動化による省人化、多言語対応、全国を網羅する保守体制、災害に遭っても操業データを復元しやすい情報管理体制を備え、食の多様化や人材不足に悩む食品メーカーの課題解決をサポート。高い総合提案力が喜ばれ、ニーズは着実に増えているそうです。
「食と蒸気に深く関わる私たちの事業は、脱炭素やフードロスといった社会課題に直結する分野であり、社会に対する責任があります」と吉岡さん。「技術は自ら持つ」をポリシーに、水素エネルギーをはじめとする環境性能に優れた製品づくり、メンテナンスを効率化するAI技術の実装などにも内製で取り組み、自社技術向上に努めています。「技術への投資は惜しみません。ものづくりで社会課題の解決に貢献できることは、何よりのやりがいだと思っています」と力強く語りました。

◎燃料のエネルギーがどのくらい効率よく活用されたかを示す「ボイラー効率」で、同社のボイラーは業界最高水準の99%を実現
◎燃焼時にCO2を排出しない水素ボイラー(左)で、「かがわ脱炭素取組優秀賞」を受賞。(写真左)代表取締役社長の吉岡龍示さん
◎本社・工場は環境負荷低減に関する企業活動の国際規格「ISO14001」認証を取得
◎同社の食品加工機器が並ぶテイストルーム
◎レトルト食品や缶詰などの幅広い食品の調理・殺菌を大量かつ同時に行える調理殺菌装置
◎社名と「解決」を意味する「Solution」を合わせた会社ブランドロゴ
※詳細は広報紙8・9ページの写真をご覧ください。

問い合わせ先:(公財)かがわ産業支援財団 取引支援課
【電話】087-868-9904