- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県福岡市
- 広報紙名 : 福岡市政だより 令和8年2月1日号
市内では、さまざまな伝統工芸や伝統芸能が長い歴史の中で人々に愛され、育まれてきました。現在も、「博多織」「博多人形」「博多曲物(まげもの)」「博多張子(はりこ)」などの伝統工芸や、「博多芸妓(げいぎ)」による芸事が脈々と継承されています。伝統を未来につなごうと、研さんに励む皆さんを紹介します。
◆博多曲物
曲物は、スギやヒノキの板に熱を加えて曲げ、それを桜の皮でとじて作られます。お祝い用の曲物に松竹梅や鶴亀などの絵付けが施されるのは、博多だけの特色です。
曲物は抗菌性に優れ、くぎなどを一切使わないため非常に軽いのが特徴です。通気性が良く、余分な水分を吸収するため、ご飯は冷めてもおいしく、弁当箱や米びつなどに重用されています。木目の美しさや、正しく手入れをすれば長く愛用できる機能性などから近年その良さが見直され、国内はもちろん、海外でも人気を集めています。
-博多曲物 柴田佳吾さん(24)の話
柴田家は博多曲物を家業として400年以上受け継ぎ、日用品から神社仏閣品まで幅広く制作しています。私も、平日は勤めに出ながら、休日に兄と共に母(十八代目・柴田玉樹氏)から制作の指導を受けています。二人とも「ものづくり」が好きなので、作る時はいつも没頭して、時間を忘れてしまいます。
小さい頃から母の作る姿を見てきたので、手順は分かっていても、一つ一つ素材に合わせて調整しながら手作りするため、感性を磨いて体で覚えていくしかありません。兄弟ともども、早く一人前になれるよう制作に取り組んでいます。
▽曲物のこれから
母は、茶の湯道具で曲物の新たな分野を切り開きました。私も、伝統的な作風は残しつつ、インテリア用品など自分たちならではの物を作っていきたいです。弁当箱や米びつとしてはもちろん、小物入れやワインクーラーなど、博多曲物を自由に使ってほしいですね。
博多曲物の良さをもっと多くの人に知ってもらうために、東区箱崎三丁目にショールームを開いています。ワークショップなども行っていますのでぜひお越しください。もっと博多曲物の認知度を上げて、兄弟で足りないところを補い合いながら、力を合わせて伝統を守っていきます。
◆博多張子
張子は、型に和紙や新聞紙を何層も重ね、のりで貼って成形し、天日で乾かしてから手描きで色付けして作られます。
江戸時代に上方(大阪)から技術が伝わり、独自に発展したのが博多張子です。鮮やかな色彩が特徴で、虎、だるま、干支(えと)飾りのほか、十日恵比須(えびす)の鯛(たい)の飾り物や、どんたくの「にわか面」など、博多の行事に欠かせない縁起物として親しまれています。
-博多張子 三浦智子さん(40)の話
5年前に、義父(博多張子の五代目・三浦隆氏)の手伝いを始めました。作業を手伝っていくうちに、張子が博多の行事や生活に密に関わっていることを知り、その奥深さにどんどんのめり込んでいきました。
一つ一つの工程はとても手間がかかりますが、その昔ながらの手作業に心を奪われ、もっと教えてほしいと弟子入りを志願しました。実は私は美術があまり得意ではなく、細かな作業は苦手だと思っていたのに、やってみたら本当に面白くて―。何かを始めるのに年齢は関係ないのだと思います。
▽今の時代に合った物を
義父から「とにかく何百個も作って覚えなさい。そして、今の人の心に響く作品を作りなさい」と言われ、自宅のダイニングテーブルに材料を広げ、張子をひたすら作り続けました。
現代的なデザインのネコ、手すき和紙を使った優しい色合いのだるま、小さな虎など、新たな作品も次々に生まれています。一昨年の秋に、自分の工房を立ち上げました。私の作品をきっかけに博多張子の歴史を知ってもらえるとうれしいです。
張子は、なくしてはならない博多の文化だと思っています。縁起物なので、買ってくださった方の夢がかないますようにと心を込めて手作りしています。
まだまだ修業中の身。これからも伝統的な張子はもちろん、今の時代に寄り添った新作を作り続けていきます。
記事に関する問い合わせは、地域産業支援課(【電話】092-441-3303【FAX】092-441-3211)へ。
●未来の伝統工芸士を育成
市は、博多人形・博多織の後継者育成のために支援を行っています。
○博多人形師育成塾
現役の博多人形伝統工芸士が、1年かけて原型作りから彩色まで博多人形作りの基礎を直接指導します。修了時には、はかた伝統工芸館で作品発表会と審査会を行います。
※毎年4月に受講生を募集。詳しくはホームページ(「博多人形師育成塾」で検索)で確認を。
問い合わせ先:博多人形商工業協同組合(博多区奈良屋町)
【電話】092-291-4114【FAX】092-291-8007
○博多織デベロップメントカレッジ
博多織の製織技術や歴史等を2年間でしっかり学びます。卒業生は「博多織手機技能修士」の資格を取得し、織元で働いたり、自立して工房を構えたりするなど活躍しています。
※随時募集を受け付けています。詳しくはホームページ(「博多織DC」で検索)で確認を。
問い合わせ先:博多織デベロップメントカレッジ(博多区比恵町)
【電話】092-472-5102【FAX】092-472-5103
