子育て シリーズ 今、気づき、じんけん 共に生きる【56】

■子どもたちが自分を大切にできる環境へ
久留米市で、生きづらさを抱える子育て世帯への訪問や、子ども向けの学習支援を行っている「わたしと僕の夢」の日下慈さんに聞きました。

◇勉強につまずく背景
私たちの団体は、約20年前に困窮世帯の子どもを対象にした学習支援を始めました。子どもたちが勉強につまずく背景にあるのは、経済的な困窮や親子関係のもつれ、学校生活の悩みなどさまざま。放課後になると、子どもたちは私たちが開く学習塾にやって来て、勉強したり実家のようにくつろいだりしています。ここでは、家庭の話や悩みを打ち明けても受け止めてもらえます。子ども同士で共感し合い、安心できる居場所になっているんだと思います。

◇家庭訪問で見える現実
ある時、高校受験を諦めている中学生に出会いました。家を訪れると、床に物や衣服が散乱し、足の踏み場もない状況でした。子どもたちが家事を担い、保護者からの度重なる叱責(しっせき)もあって、何もかも我慢する癖がつき、とても勉強できる環境ではありません。そこで私は、保護者と丁寧に話し合い、声の掛け方や生活習慣を見直してもらうことで、その子は高校受験に臨めるようになりました。

◇あなたを気にかけているよ
私自身も家庭の複雑さを抱えたまま大人になり、子育ての悩みを相談できず、困り果てた経験があります。日々の活動の中でも、誰に相談していいか分からない人や、困っている状況を認識できていない人に出会います。相談のしづらさは私もよく分かるので、相談を待つのではなく、「気にかけているよ」というメッセージが伝わるよう心がけています。

誰もが人知れず悩みを抱えています。生まれ育った環境によって将来が左右されないよう、どの子にも思いやり、声を掛け合う社会にしたいですね。

◎日下慈さん
認定NPO法人「わたしと僕の夢」の相談員。生きづらさを抱える子育て世帯の悩みに寄り添い、学習や生活面のサポートを行う認定

■NPO法人「わたしと僕の夢」
困難を抱える子どもたちが広い世界に羽ばたけるよう、学習や生活面などをサポート。一人一人に心を寄せながら活動しています。

問い合わせ先:生活支援第2課
【電話】0942-30-9023
【FAX】0942-30-9710