- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県八女市
- 広報紙名 : 広報八女 2025年6月1日号
■人権問題を自分ごととしてとらえるために
市では、一人一人の人権意識の高まりを目指す啓発に取り組んでいます。3月15日、人権フィールドワークを実施し、市内の中学生・高校生26人と一緒に、熊本県にある国立療養所菊池恵楓園と熊本城を訪れました。
▽ハンセン病問題とは
ハンセン病は「らい菌」による感染症ですが、感染力は弱く日常生活で感染することはほぼありません。しかし昭和6(1931)年「癩らい予防法」が成立し、すべての患者を療養所へ隔離する強制隔離政策がとられ「感染力が強く、怖い病気」だという誤った認識と共に、患者や家族に対する差別・偏見が社会全体に広まりました。この強制隔離政策は、平成8(1996)年まで続けられました。
令和6(2024)年に厚生労働省が実施した全国的な意識調査の結果によると、ハンセン病への差別・偏見は依然として深刻な状況にあります。ハンセン病問題は、過去のことではなく、現在も続く人権問題です。
▽中学生・高校生と共に学ぶ
菊池恵楓園歴史資料館では、ハンセン病への理解を深める貴重な資料や、入所者の生活が感じられる作品などが数多く展示されています。参加者は、最初は広いと感じた療養所の敷地が厚い壁に囲まれ、ここから出ることが叶わなかった人の人生を思うと「たったこれだけの社会で生涯生きてこられたのか」と驚いていました。
『特効薬でも治らないもの、それは差別でした。だから私たちはここで、せめて、家族の暮らしを守るために本名を隠し、偽りの名前で生きてきたのです。どうか私たちのような不幸を背負う人がいない社会を、あなたが創ってください。』
展示資料より
▽参加者の感想
・ハンセン病についてあまり知らない人がいるから差別が起きて、今も続いてしまっていることを知った。差別を減らすためにちゃ
んとそのことについて知ることが大切だと分かった。(中学二年生)
・醜い過去の歴史や貴重な監禁していた場所、中島さん(フィールドワーク講師)の話などいろいろなことを学ぶ大切な日でした。差別や偏見は昔のことではなく今も身近にあることを知り、無くしていきたいと思いました。(高校一年生)
▽熊本城フィールドワーク
熊本城見学を行い、訪れるすべての人にとって使いやすいデザインを取り入れた構造になっているか、エレベーター、スロープ、手すり、点字、音声案内、外国語表記など、具体的な取り組みについて知ることができました。人権のまちづくりのためにはさまざまな視点を持つことが重要だと認識しました。
差別・偏見は無知や無関心から生まれます。私たち一人一人が正しく学び、根強く残る差別・偏見をなくしていきましょう。
◆人権セミナー八女2025
演題:「命の選別を許さない社会をめざして」
日時:6月24日(火)18時30分~20時
講師:德田靖之(德田法律事務所弁護士)
場所:立花公民館1階イベントホール
詳細はチラシや市ホームページをご参照ください。