- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県筑紫野市
- 広報紙名 : 広報ちくしの 令和7年11月号
■其の百十九
ビッグな甕(かめ)の棺(ひつぎ)
光が丘団地の開発にともなう発掘調査で、弥生時代の墓地から大きな土器を棺とする甕棺墓(かめかんぼ)が、1400基以上も見つかりました。
甕棺墓は、丸みを帯びた形と成人を入れるための大きなサイズが特徴的で、二つの土器の口を組み合わせて棺とします。
通常、棺は人体が納まる大きさがあれば十分で、この時代の墓もだいたいそうですが、甕棺は二人入れても余裕があるくらいの大きさがあります。この甕棺墓は、全国では福岡県や佐賀県を中心とした北部九州でしか見られません。どうして北部九州の人たちは、甕棺を好んでいたのでしょうか。
その理由が単なる流行であったのか、2000年以上経過した今では謎に包まれています。しかし、巨大な甕棺は作るのも運ぶのも大変な労力が必要だったと考えられます。小さい棺でも事足りるにもかかわらず、コストをかけて甕棺を使うことは、現代人の私たちには理解しにくいところがありますが、弥生人にとっては大切なことだったのでしょう。
歴史博物館に展示している甕棺をぜひご覧になって、その大きさを実感し、弥生人の気持ちを想像してみませんか。
問合せ:文化財課
