文化 あけてみよう! 歴史のとびら 195

■大野城心のふるさと館のおすすめ(24)
◇戦争の記憶 山上高太郎日記
今から80年前の昭和20年はアジア太平洋戦争の終結と米軍の進駐と、大野村(現在の大野城市)にとって激動の年でした。戦中の大野村は国道や鉄道を使った都市部などへの物資の輸送が容易なことなどから、戦闘機や魚雷の部品を製造する軍需工場があり、また多くの米を国に供出する農村地帯でもありました。
大野村長であった山上高太郎は日記に、召集や戦死者の氏名を一人一人記録し、大刀洗大空襲の後、加速した軍需工場の地下疎開化、村民の避難計画の策定などを事細かく記していました。昭和20年4月23日から村内で本土決戦の準備が始まると、「村民が知ったら、定めて吃驚(びっくり)仰天だろう」と案じ、6月の麦刈りと陣地構築への村民の出動が重ならないように何度も軍と交渉を行い、戦時体制の中でも村民のために奔走していた様子が伺えます。
8月15日には玉音放送を聞いて涙を流し、「断腸」、「永遠の希望はあっても局面的に視るならば希望なき民族である。心の暗さは思う程、深くなるのだ。重くなるのだった。」と村長として日本の敗戦を受けとめた心情を記しています。
戦争から80年が過ぎようとする中、戦争体験者の高齢化に伴い、証言が得にくくなる一方で、近年ではこのような日記などの記録資料が重要になってきています。
行政の最前線に立たされていた長としての目線で、戦中戦後の村役場の情報や時々の心情を書き留めた山上高太郎日記は、今年10月、大野城市に寄贈されました。
心のふるさと館では令和8年1月10日(土)から3月8日(日)まで、昭和20年の山上高太郎日記を中心に、戦争関連資料を展示する「戦争の記憶展」を開催します。

問い合わせ先:心のふるさと館文化財担当
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