イベント きゅうはく通信(183)

■博覧会から始まる、博物館の物語

九州国立博物館の物語は、今からおよそ150年前の太宰府から始まります。明治6年(1873)、太宰府神社(現・太宰府天満宮)で開かれた「太宰府博覧会」には、社寺や個人の宝物をはじめ600点以上が集まりました。東京で博覧会が始まってわずか2年後に地方で実現した先駆的な催しは、多くの人々を魅了し、文化財公開の新しい扉を開いたのです。
さらに20年後には、常設の展示施設「鎮西博物館」を建設しようという夢も描かれました。九州の古器旧物と物産を一堂に並べようとする壮大な計画は、残念ながら実現には至らず、幻の博物館となってしまいました。けれども、その志は確かに時代を超えて受け継がれています。
本展は、九州国立博物館開館20周年を記念し、その創立前史の中でも特に重要な太宰府博覧会と鎮西博物館構想に焦点を当てるものです。明治という新しい時代の到来とともに、人々が太宰府の地で体験した博覧会はどのようなものだったのか。そして、思い描いた博物館はどのような姿だったのか。本展を通じて、歴史に刻まれた志と理想の軌跡に、ぜひ触れてみてください。

九州国立博物館 企画課