- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県朝倉市
- 広報紙名 : 広報あさくら 第417号(令和7年11月号)
■平和の尊さを未来に語り継ぐために
今年は、終戦から80年の節目の年です。テレビやラジオで特集が組まれるなど、今年の夏は「戦後80年」という言葉を毎日のように耳にしました。
現在、自らの戦争や被爆体験を若い世代に語り継ぐ「語り部」という活動をしている人たちがいます。しかし、「語り部」の高齢化が進み、今後、後世にどう継承していくかが課題となっています。
長崎市の爆心地にほど近い山王神社には、被爆遺構として大切に保存されている一本柱鳥居や大楠(通称:被爆クスノキ)などがあります。被爆クスノキは、原爆の熱線で焼かれながらも再び芽吹き、焼け野原から復興に向かう被爆者らを勇気づけるとともに、平和や再生のシンボルとして親しまれました。現在では長崎市の天然記念物に指定されています。
この被爆クスノキを題材に、長崎県出身の歌手、福山雅治さんが作詞・作曲し、平成26年に発表された「クスノキ」という楽曲があります。福山さんは、デビュー当初から「被爆クスノキをモチーフにした楽曲を作りたい」と考えていましたが、被爆2世であることをラジオで語った際の反響が大きく、被爆者に対するイメージ(偏見)に違和感を覚えたことで、早く楽曲を仕上げたいと思うようになりました。しかし、完成までに24年を要したといいます。
福山さんは、樹齢約500年の被爆クスノキが命尽きてしまったとしても、自分の思いを託した楽曲が世代を超えて人々の心に残り、「被爆クスノキよりもずっと長く生きるかもしれない」と考えたそうです。そして、この歌には「すべての命が等しく生きられる世界」への願いと、普遍的な「命の尊さ、たくましさ」がメッセージとして込められています。
現在では、語り部の思いをデジタルの力で未来に残そうと、語り部が話す様子をインターネットで配信したり、次世代の語り部を育成したりする事業など、さまざまな取り組みが実施されています。
「戦後80年」という節目の年である今、戦争の悲惨さや平和の尊さを伝える語り部たちの思いを未来につなぎ、二度と戦争を繰り返さないために、私たち一人ひとりにできることを考えていきましょう。
問合せ:市人権・同和対策課
【電話】52-1174
