くらし [特集]障害者週間(1)

◆story(1)やりたいこと なんでもやってみよう!たくさんの人が 見守ってくれるから

市内在住の八幡 凛星(やはた りんせ)ちゃんは、生まれた時にダウン症候群と診断されました。今、青葉保育園に通っていて、来年春に小学1年生になります。
お母さんの憲子(のりこ)さんにお話を伺いました。

◇普通に育てていい
生まれてすぐ、ダウン症候群という診断を受けたときは、不安に押しつぶされそうでした。ネット検索ばかりして「ダウン症の子」を育てるということに、気を張っていた私に、検査を受けた病院の先生が「今は、この子は困っていることはないから普通に育てていい」と言ってくれました。私にとって、子育ての大きな転機となった言葉でした。ダウン症の子としてではなく、目の前の娘に向き合うことができるようになりました。
「他の人と同じように、子育てを
楽しんでみよう」と思ってからは、が愛しく、日々の小さな成長が嬉しいです。「将来の不安もあるけれど、それはそれ。どの親も同じ」と思えるようになりました。

◇たくさんの方に大切にされ 気持ちを尊重してもらい 成長を見守ってもらって
職場の上司や先輩方に、生後50日ごろ、娘がダウン症であることを話しました。社長から「これからは、オリジナルな人が生きやすくなる社会にどんどん変わっていきます。大いに希望を持ってくださいね」という言葉をかけてもらいました。「それは大変ですね」ではなく「希望を持って」という言葉はエールをもらったようでした。また、療育や通院などの時間を確保できるよう、柔軟な働き方を提案してくださいました。
働くことを決めたら、次は保育園見学。ダウン症児を受け入れてもらえるのか、保育園で他のお子さんと一緒に生活できるだろうかと不安がありましたが、保育園も「安心して預けてください」と快く受け入れていただきました。
0歳で入園し年長になった今、保育園のお友だちや親御さんが「凛星ちゃん」「凛星ちゃんのママ」と呼んでくれること、一緒に遊んでくれることがとても嬉しいです。
娘がダウン症と分かった時「お友だちができないのではないか、社会や地域から孤立して生きることになるのではないか」と不安で、悲しくて、たくさん泣きました。けれど「そう思う必要はなかった」と今、思うことができています。娘は言葉で説明されると一度に理解できない時があり、また発音が不明瞭です。みんなと同じようにできないことがあると気持ちの折りいがつけられないことがありま。しかし、先生方にサポートしてもらい、友だちに受け入れてもらい、一緒に遊んで、しゃべって、怒って、笑って楽しい時間を過ごしています。
また、私にも困ったときに支えてくれる方がたくさんできました。担当医師、保育園の先生方、理学療法士、言語聴覚士、作業療法士などの療育先の先生方、相談支援専門員さん、市役所の関連部署の方、障がい児子育てサークルでできた友人、職場の同僚、夫や両親などたくさんの方に支えられています。障がいがあるからこその相談もあれば、子育てをしていたら誰にでもあるようなことまで、他愛ない感じで話せる人がたくさんいます。
私も娘も、元気に楽しく毎日を過ごせるのは、周りの方にたくさん助けていただいているからです。今後、どんなことが起こるか分かりませんが、相談できる方がいることは、とても心強いです。
娘が、たくさんの人からとても大切にされて、気持ちを尊重してもらい、成長を見守ってもらっていることに感謝でいっぱいです。

◇社会の一員として役割を見つけてくれることを願って
娘は運動能力や心、ことば、社会性、生活習慣など、全体的に成長がゆっくりです。でも、やりたい、やりたくないといった意志はしっかり持っています。保育園では、お友だちがするように、自分の身の回りのことは自分でしたり、当番で配膳をしたりします。家では、洗濯や食器洗いを手伝ってくれ、先日はコーヒーをいれてくれました!
これからの娘の成長、一緒に過ごす毎日が楽しみです。これからも娘の挑戦や体験したいという気持ちを大切にしていこうと思います。

やりたいこと なんでもやってみよう!
可能性がたくさんあることは、これまでもこれからも変わらない。
一緒に冒険して、人生を楽しもう!

○ダウン症候群
人には23対の遺伝子が記憶されている染色体があり、21番目の染色体の突然変異でおこるのがダウン症候群です。個人差はありますが、軽度から重度の知的障がいがあり、心疾患やてんかん、甲状腺機能低下症などの合併症があります。
ダウン症児は自分の体を支える筋肉の収縮が弱く、ゆっくりしたペースで成長します。