文化 子どもたちとつなぐ伝統の心 高志狂言
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- 発行日 :
- 自治体名 : 佐賀県神埼市
- 広報紙名 : 市報かんざき 令和7年11月号
200年以上にわたり受け継がれてきた伝統芸能「高志狂言」。その文化を未来へつなごうと、大人も子どもたちも一緒に練習を重ね、華やかに披露し続けています。
今回は、伝統芸能に親しみながら取り組む子どもたちと、地域の文化を守り伝える保存会の活動を紹介します。
◆地域の支えとなる芸能
千代田町の高志地区に伝わる高志(たかし)狂言。その起源は江戸時代に武士の間で広まった狂言の流派「鷺流(さぎりゅう)」にあるとされ、台本や録音がなかった時代から地域の中で受け継がれてきました。
基本は鷺流の型ながら、長い年月の中で他の芸能の所作なども自然と導入。少し
ずつ高志狂言ならではの形になっていきました。
昭和46年には佐賀県重要無形民俗文化財に選定。毎年10月には五穀豊穣への感謝
と地域の安寧を祈り、高志神社に奉納されています。
◆大切な文化を次代へつなぐ
昔から芸能を大切にする文化が根づいていた高志地区。周辺地区にもそれは定着しており、祝い事のたびに「高志の人がいたら、何かひと節披露してよ!」と声がかかるほどでした。
近年は大人数が芸能に携わることが難しく、10人以上の出演が必要な「半銭(はんせん)」が最後に披露されたのは約20年前。しかし、今年に入って「やってみたい」という声が地域の大人たちからあがり、再演への機運が高まっています。
◆子どもたちも一緒に伝統を紡ぐ
高志地区では、大人はもちろん子どもたちも伝統芸能に携わっています。「高志狂言クラブ」では地区内外から子どもたちの参加者を募っており、夏休み期間やお祭り前の昼休みなどを使って練習。指導を受け持つ高志狂言保存会の島 信秀(しま のぶひで)さんは「最近は特に、こうした芸事に興味を持つ子が増えてうれしく思っています」と笑顔で話します。子どもたちはとても意欲的で、島さんは次の世代が少しずつ育っていることを実感しているそうです。
「今後は千代田町全体で高志狂言に携われるようにしたいです」と、伝統の裾野を広げる意欲も。地域で守られてきた高志狂言は、これからも多くの人の手で次代へと受け継がれます。
◆高志狂言クラブ
今から25年前「おじいちゃんがやっている高志狂言をやってみたい!」という声から、小学生向けにクラブを発足。
現在は千代田中部小学校5~6年生の児童9人が、年間を通じて「部須(ぶす)」という演目に取り組んでいます。
動きは大きく表現が伝わるような動作を学びます
セリフ合わせ現代の言葉ではないのでさらに大変です
立ち位置もしっかり確認します
夏休みに練習に励むクラブの児童たち
◇参加者たちのコメント
今とは違う台詞回しや動きが難しいです。でも内容はとても面白いし、友達も一緒なので楽しく続けています。
