- 発行日 :
- 自治体名 : 熊本県山鹿市
- 広報紙名 : 広報やまが 令和8年1月号
1857年(江戸時代)に築造された湯の口ため池(通称:蒲生の池)・井手が9月10日に国際かんがい排水委員会(ICID)が認定する「世界かんがい施設遺産」に登録され、10月9日農林水産省(東京)で認定証と記念盾が授与されました。
■世界かんがい施設遺産とは
かんがいの歴史・発展を明らかにし理解醸成を図るとともに、施設の適切な保全を目的として、歴史的なかんがい施設を国際かんがい排水委員会(ICID)が認定・登録する制度です。建設から100年以上経過し、かんがい農業の発展に貢献したもの、卓越した技術により建設されたものなど、歴史的・技術的・社会的価値のあるかんがい施設を登録・表彰しています。国内では54施設が登録され、湯の口ため池・井手は県内5施設目になります。
■湯の口ため池・井手
湯の口ため池は約170年前に建設され、山鹿市蒲生地域の農業を支えてきました。ため池が整備される前は水不足に悩み食料も無い状況でしたが、上内田川の長谷堰から取水し、山をくりぬき、ため池を作り、そこから用水路を整備し荒れ地を開拓しました。
事業の施工にあたっては、現在でいうところの広域行政の単位である「手永(てなが)」が主体となり、その総責任者である遠山弥二兵衛(やじべえ)による主導のもと、費用見積もり、設計、施工管理に至るまで全て「手永」による自主運営でなされていたことが文献に残されており、村人たちに資金の拠出や区役(無償労働)を求めない旨の説明会をしていたことも記されています。これは熊本藩独自のシステムである「手永制」により、農業水利事業が、幕府や大名といった領主権力による実施から、「手永」という地方行政組織も事業実施主体としての役割を担っていったことがうかがえるかんがい施設です。
遠山氏が亡くなった後、村人は彼の恩を忘れないようにと、ため池のほとりに遠山神社を作り、現在も蒲生地域では農家も非農家も関係なく住民総出によるため池の清掃、草刈りなど維持管理をされているほか、毎年4月4日に遠山神社において、遠山の子孫を遠方から招待し、彼の功績をしのびながらお祭りが行われています。
■今後の取り組み
登録により、かんがい施設の持続的な活用・保全方法の蓄積、市民への教育機会の提供、かんがい施設の維持管理に関する意識向上に寄与するとともに、かんがい施設を核とした地域活性化を図っていきます。
問合せ:農村整備課農地整備係
【電話】43-1571
