- 発行日 :
- 自治体名 : 熊本県玉東町
- 広報紙名 : 広報ぎょくとう 令和8年1月号
北海道出身のJICAグローカルプログラム実習生が、西南戦争にまつわる史跡を巡り、心に感じたことを綴りました。
■その六「吉次峠古戦場」
ここには漢詩が書かれた石碑がある。人の背丈よりも大きい。近づいてよく見るためにその石碑が置かれている小高い丘を登った。この詩は「君見ずや吉次の険は城よりも険なり(みなさん知っているでしょう、吉次峠の険しさは城よりも険しいことを)」から始まっている。この詩を作ったのは佐々友房である。
西郷軍に参加してここで戦っていた人物だ。当時、政府軍から「地獄峠」と呼ばれたこの場所は、木がうっそうと茂り、平らな道が無いほどの急こう配だったという。「吉次の険は城よりも険なり」という詩も「地獄峠」という名称も戦争当事者の声だ。
ただ目を引く表現なのではなく、当事者の心の叫びなのだ。現在は公園として整備され、その明るくてこざっぱりとした様子からは地獄を連想することは難しい。ただ想像することは難しくても、ずしんと重く暗い気持ちが心のどこかにのしかかったのは感じた。
長谷川 健太
