- 発行日 :
- 自治体名 : 沖縄県粟国村
- 広報紙名 : 広報あぐに 2025年10月号
■アルコール利用障害についてのお話
医師:大田瑞生
まだ記事を書いている時点では暑い日が続いていますが、この記事が掲載される頃には少しは残暑も引いてきているでしょうか。今年の旧盆は飲酒絡みの受診はなかったので一安心しております。
さて、診療所に通院されている方は何度も耳にしているかもしれませんが、今回は「適切な飲酒」についてのお願いになります。
○アルコールの害
飲酒でよく耳にする害として、肝臓の障害や高尿酸血症(痛風)があると思います。その他にも内臓のがんになりやすい、膵炎を起こしやすい、夜間寝ている途中で目が覚めやすくなるなどの影響があります。お酒だけでなく、一緒におつまみを食べる方も多いと思いますが、おつまみにカロリーや塩分、尿酸が多いものを好む方は生活習慣病のリスクになります。最近はアルコール・プリン体オフの飲料も増えていますが、飲み物以外にも気を配って適度の飲酒、間食を心がけましょう。
○アルコールに強い人はたくさん飲んでも大丈夫?
A.そんなことはありません
日本人はアルコールの代謝酵素が弱い人が多く、そういった方は飲酒によってがんになるリスクが高いと言われています。しかし、アルコールに強くても多量の飲酒を続けるとがんのリスクは高くなります。
例えば肝癌について、日本ではほとんどが肝炎ウイルスによるものと言われています。肝硬変という肝臓癌のリスクが高い状態になる原因として、2010年頃は日本で肝炎ウイルスが75%程度、アルコールは13%とされる中、沖縄はアルコールが40%とされています。飲酒量の増加に一致するように肝疾患での死亡率も上昇しており、全国で最も肝障害で亡くなる人が多い県となりました。アルコールに強くても適切な飲酒が必要です。
○適切な飲酒とは
厚生労働省は1日あたり男性40g、女性20g未満のアルコール摂取量を目安としています。アルコール20gの例として5%のビールで500ml、25度の酒は100mlとなります。また、週に2日以上の休肝日を設けるように推奨されています。
肝臓がダメージを受けてから改善することは非常に困難です。普段から適切な飲酒を心がけましょう。
