文化 やえせの昔話(5)

■キジムナーの魚取り
字上田原 出身

【話者】大正4年生 女性
キジムナーとお爺さんはドゥシ(友達)だったわけさ。ある日、キジムナーから「魚取りに行こうよ」と誘われた。
お爺さんとキジムナーはそれからというもの魚を取りに出かけるようになった。お爺さんが魚を取ると、キジムナーは魚の左目をティール(竹製のかご)にせっせと入れて集めていた。
お爺さんは毎日、キジムナーに誘われて魚をたくさん取っているうちに、どんどんエーキ(金持ち)になっていった。他の誰よりも朝早く起きて魚をたくさん取って、売っているからね。
そのうちお爺さんは、魚を取りに出かけるのが嫌になってきてしまった。「キジムナーとこんなして友達になってしまったが、何だか大変なことになってしまわないかなぁ」とも、心配になってきた。
お爺さんの家には大きな千年木の古いガジュマルの木があった。そこにキジムナーは住んでいた。
『この木を倒して焼いたら、キジムナーとの縁も切れるんじゃないか・・・』と思ったお爺さんは、この古くて大きい木を倒した。すると毎日やって来たキジムナーがぱったりと、姿を見せなくなった・・・。
キジムナーが居なくなるとお爺さんはすぐに貧乏になり、そして突然居なくなってしまった・・・。キジムナーとの縁を切ろうと古いガジュマルの木を切ってしまったお爺さんは命を取られてしまったんだね。

今回、掲載した昔話は昭和57~59年に八重瀬町内各字の皆様のご協力を得て収集した昔話の内の一話です。「八重瀬町伝承話資料保存継承事業」(令和5、6年度)の一環で使用許諾を得られた話を紹介しました。
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