■『お互いを生かし合うための人権』をテーマに「第5回人権講座」を開催
文化会館では、同和問題をはじめあらゆる差別や人権侵害をなくしお互いの人権を大切にする町づくりを目指して年5回の人権講座を実施していますが、10月25日(水)、第5回人権講座を開催しました。
▽DVD「多様性入門」を視聴
今回は『お互いを生かし合うための人権』をテーマにしたDVD「多様性入門」を視聴した後、中村勝明人権啓発指導員の講話を聴きました。
企業では今、多様性を尊重することへの重要性がますます高まっています。企業内には以前と比べて多様な価値観、多様な属性を持った働き手が増えており、また、均一な商品・サービスではフォローしきれない多様なニーズが社会に生まれています。
多様性とは、外国人、障がい者、高齢者などの多様な価値を私たちが受け入れることと認識されています。しかし、この作品は、その思い込みに対して一石を投じるものになっています。
このDVDは、多様性とは、ある集団が多様な人を受け入れようという認識ではなく、集団に属するすべての個人がそれぞれに個性を持ち、それぞれの違いをお互いに認め、生かし合うことだということをテーマに据えています。
▽中村勝明さん(人権啓発指導員)の講話
今見ていただいたDVDの内容を振り返りながらお話を進めていきたいと思います。
『多様性についてどう思う?』というセリフがありました。多様性とは、ただ単に「外国人を雇用する」「女性管理職が活躍する」「障がいのある人を雇用する」ということではなく、「個人の違いを認め、違いを生かし、お互いが尊重し合う」ことだと思います。
現在、わが町新温泉町には、14か国、203人の外国人の方が生活されています。インドネシア人が75人と最も多く、次いでベトナム人が41人、ミャンマー人が20人、中国人が18人と続きます。私たちは今、多くの外国の方と共に生活しています。
DVDでは、ベトナム人のイエンさんという会社員が『有給休暇を2週間ほしい』と申し出た場面がありました。直属の上司は渋い顔をしましたが、『有給休暇があるのに使えないのはおかしい』『仕事が回るような仕組みが必要』とさらに意見を申し出たところ、所長が『会社っていうのは、こういう新しい力によって変化していくもの』として、彼女の申し出を快諾しました。
このように、社員が多様になればなるほど、考え方や働き方は十人十色で今までの常識を変えるチャンスになります。そして、一人ひとり違うからこそ新しいマニュアル作りが必要だということになります。
また、DVDの中で、若い社員がメールだけで相手の会社の人と仕事のやり取りをしている場面がありました。それに対して上司が『メールでは細かなニュアンスは伝わらないし電話のほうが良い』と助言しましたが、所長が『苦手だからと言って便利なものを否定することはよくない。同じ場所にいなくても顔を見ながらやり取りできる方法がある』とウェブ会議を提案しました。若い社員は『ウェブ会議なら相手の顔も見えるし、在宅ワークの範囲も広がる』と新たな発見をしました。
そして、『多様性の尊重とはどういうことですか』という場面がありました。その場面では『自分と同じ職場に言葉が通じる外国人がいると安心感がある』『私は日本人だし身体も不自由じゃないし、社会でも会社でも多数派の側にいると思い込んでいた』『多数派・少数派という区分自体に意味がない』『一人ひとり違う。私も多様な人間の一人』などの言葉が出てきました。
つまり、場所やタイミングが変われば多数派にも少数派にもなりうるということです。違いがあるから、そこには気づきがあるし、新しい力になるのです。
多様性が認められていない社会では、誰もが差別や偏見に苦しみ、本来の自分を殺さなくてはならない。多様性に気づき、認め合うことで人生が豊かになり「誰もが生きやすい社会」になるのです。
最後に、金子みすゞさんの「私と小鳥と鈴と」の詩を紹介します。
一覧については本紙をご参照ください
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