春日井郷土史研究会 渡辺
◆山伏(やまぶし)・四坊島(しぼうじま)
山伏と四坊島は、王子製紙の南側に位置する真言宗のお寺「常泉院(じょうせんいん)」(下条町)の西南部にあった地名です。
常泉院の創建年代ははっきりしていませんが、言い伝えによると、創建後にお堂が焼失した後、天正5年(1577)に、当時の篠木・柏井の領主だった吉田英清により再建されたとのことです。昔は常泉坊と称した修験道(しゅげんどう)(※1)の道場で、修行を重ねた伏(※2)たちを通じて、人々に受け入れられていたそうです。
また、昔はこの地に修験道が四坊(4か所)あったと言い伝えられています。
これらのことから、「山伏」「四坊島」が地名として残ったと考えられます。
ちなみに、その後常泉坊には、遠州秋葉山(えんしゅうあきはさん)(静岡県浜松市)から、火防の神として知られる秋葉三尺坊大権現(あきはさんじゃくぼうだいごんげん)の分霊が移され、村人たちは火災を防ぐ火伏の神としてまつりました。以前は、「火まつり」という火渡りの神事が行われていたそうです。
※1 山岳修行で得た神秘的な力により、自他の救済を目指す山岳信仰
※2 山岳修行により霊力を身に付けた行者
山伏・四坊島:常泉院西南
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