◇今後、財源や職員が減る中でも変わらぬ行政サービスを
さて、冒頭に述べた「人口減少社会」では区役所の財源も職員も減っていくことが予想されます。一方で、現在の行政サービスの水準をできる限り将来にわたり維持していく施策も重要です。
その一つが「メタバース区役所」の開設です。実現に向けて今年の4月に、区内にある東京情報デザイン専門職大学とプロジェクトチームを発足したところであります。今月からは福祉や教育、子育てなど一部の分野で、相談や申請手続きの受け付けを仮想空間の中で始めます。窓口やオンライン上での受け付けに加えて、皆さまの選択肢を増やすことで「来庁不要の区役所」実現への大きな一歩とし、「究極のバリアフリー」を目指してまいります。
また、先人の皆さまとともに長年をかけて育んできた、水とみどりあふれる豊かな環境を将来世代に残していくことも大切です。
現在、総合レクリエーション公園と新左近川親水公園において、持続可能な維持管理を実現し、多くの皆さまにご利用いただける公園とするため、民間企業の活力や資金を生かしたリニューアル事業を行っています。
既に一部の工事を始めていますが、お近くに住む葛西地区の方を中心に、6月5日に発行いたしました広報えどがわ特別号で、リニューアル後はどのような公園になるのか、分かりやすくお伝えしています。引き続き、区民の皆さまの声をお聴きしながら、皆さまに愛され、憩いの場となる公園の在り方を考え、取り組みを進めてまいります。
◇ビール製造・販売とともに就労機会を確保していく
また、さまざまな事情により常勤での就労が困難な方の就労機会の確保も重要です。この問題へのアプローチの一つとして「EDOGAWA BEER PROJECT」を立ち上げます。
プロジェクトの目的は、江戸川区のご当地ビールやノンアルコールビールを作ることだけではなく、生産過程の中で多くの方に働きやすい環境をつくることです。安心して就労でき、次のステップにも進めることは、当事者のみならずそのご家族の強い願いであります。
簡単なことではありませんが、事業へ込められた思いに共感する方々から消費という形で応援していただく。そのような誰もが自分らしく生きることのできる「共生社会」の理念を体現したプロジェクトに挑戦してまいります。
◇今年の夏はオリ・パラが開催選手たちの活躍を期待
最後になりますが、この夏はフランスで「パリ2024オリンピック・パラリンピック競技大会」が開催されます。夏のオリンピック・パラリンピックと聞きますと、前回の東京大会が思い返されますが、オリ・パラ、それぞれの開会式で、当時新型コロナウイルス感染症と最前線で戦われていたエッセンシャルワーカーの皆さんが、大会旗や国旗を持って入場されました。あれから3年が経ち、コロナ禍を乗り越え、次なる大会が無事に開催されることをうれしく思います。
本日(6月12日)時点でありますが、本区ゆかりの選手として、オリンピックには競泳に池江璃花子(いけえりかこ)選手が、カヌー・スラロームには羽根田卓也(はねだたくや)選手が出場されます。パラリンピックでは水泳に辻内彩野(つじうちあやの)選手、陸上に松本武尊(まつもとたける)選手、バドミントンには長島理(ながしまおさむ)選手が出場されます。また、宗家花火鍵屋15代目当主で区の教育委員でもある天野安喜子(あまのあきこ)さんが柔道の審判員を務められます。皆さんのご活躍を期待しています。
こうしたトップレベルでの活躍も素晴らしいことですが、日々の生活の中の、文化やスポーツ活動を通じて豊かな心を育むことも大切だと思っています。
ここで区外にお住まいの方から頂戴しました、一通の手紙の内容をご紹介いたします。
「電車の車内で、東葛西中学校女子バレーボール部の皆さんをお見かけし、そのマナーの素晴らしさに大変感動いたしました。生徒たちは、互いに声をかけあいながら後輩から順に着席するよう促し、誰一人として大声でお喋りをしていませんでした。また、顧問の先生は降車まで含めて、全ての生徒にしっかりと目配りをされていました。江戸川区教育委員会の、女子バレーボール部の顧問の先生の、そして何より部員の皆さんの素晴らしさを感じました。これからも陰ながら応援させていただきます」
この手紙でお褒めいただいたようなことは、生徒一人ひとりの素晴らしさはもちろんですが、学校や家庭、そして地域の思いやりや愛情も大きく影響しているのではないかと感じております。
お子さんが活躍する場面はさまざまでありますが、これからも周囲と関わりながら成長していくことができる地域づくりを推し進めていきたいと、改めて心に誓うお手紙でありました。
◇区民提案の事業が寄付により実現
さて、今回提案いたします補正予算は、一般会計で総額は40億5千万円余であります。その中には、先ほど申し上げた案件をはじめ、区民の方からご提案いただいたアイデアを基に実施したクラウドファンディングのうち、目標金額を達成した「災害時に活躍するキッチンカー事業」の経費も含まれています。事業の提案のみならず、その実施経費も皆さまからお寄せいただくという取り組みではありましたが、提案者と寄付者の思いを実現すべく、防災の啓発と併せて今年の区民まつりの会場にてお披露目する予定です。
本定例会にはこれら補正予算に加え、条例改正など合計で15件の議案をお諮りしています。また、専決処分など6件の報告事項もございます。それぞれご審議の上、ご決定いただきたいと存じます。
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