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佐川美術館アートコラム(90)

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滋賀県守山市

■彫刻を支える縁の下の力持ち
佐川美術館
学芸員:深井 千尋(ふかいちひろ)

第58回のアートコラムでは絵画の引き立て役として額縁を取り上げましたが、今回は、彫刻における引き立て役「台座」を紹介します。一部例外もありますが、多くの彫刻は台座に設置されており、台座には作品を支える、鑑賞しやすい高さに置く、見栄えを良くするなどの役目があります。
彫刻家・佐藤 忠良(さとうちゅうりょう)は台座にこだわりを持っており、当館で屋内展示する佐藤のブロンズ像のために作られた木製の台座は、作者自ら指定したグレーに塗装されています。また、頭像をはじめとする小品の多くには、木製の台座と作品の間に石の台座が設けられています。佐藤の小品の台座には黒や赤の石が用いられる場合が多いのですが、女性が横たわり空を飛ぶ姿を題材にした《空よ》(1973年)の台座には、他とは異なるベージュの石が用いられており、台座を薄い色にして存在感を弱めることで作品の浮遊感が際立っています。
佐藤は、びわ湖大橋米プラザ(大津市)の《若い女・シャツ》(1982年)など、各地の野外彫刻も手掛けています。佐藤の野外彫刻は、赤い御影(みかげ)石の台座に設置されることが多いのですが、当館の野外彫刻は珍しく黒い石の台座に設置されています。黒い石の台座はモノトーンを基調とした美術館の外観によくなじんでおり、台座の選択にも作者の美的感覚が表れています。当館で彫刻作品を鑑賞する際には、少し視点を変えて、作者こだわりの台座にも注目してみてはいかがでしょうか。

※開館情報は、佐川美術館ホームページでご確認いただくか、電話〔【電話】585-7800〕でお問い合わせください。

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