博物館の学芸員が、あれこれを語り倒すコーナー。
■画家「島村亮」の世界
大塚 真由美
妻田村に生まれた島村亮(1901~58年)は、18歳で日本画家山内多門の門に入り画家としての道を歩み始めます。多門没前後は安田靫彦門下(やすだゆきひこもんか)となり、洋画研究にも没頭。第一回帝国美術院展(36年)で「春甫(しゅんぽ)」が、次いで「秋林(しゅうりん)」が文部省美術展覧会で入選を果たします。「春甫」は日本画ながら洋画の技法、点描を用いた作品で、柔らかな筆致で描かれた里山の風景はさながら桃源郷のよう。
描法がどうあれ日本人の描く絵は日本画であり、日本古来の国民の感覚、国民性が出るという島村ですが、皆さんの目にはどう映るでしょうか。長く展示のなかった島村作品です。この機会にぜひご覧ください。
「春甫」は5月12日まで展示。
14日からは「秋林」などに展示替えします。
問合せ:あつぎ郷土博物館
【電話】225-2515
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