■千代田の山々と歴史遺産 No.2
今月は、7月号で山の魅力を語ってくれた、山を愛する市民学芸員・宮田憲一(みやたけんいち)さんが、千代田の山々の岩石と石材業について語ってくれました。
○雪入山の近代遺産・石材業
雪入山の地質は、変成(へんせいがん)岩と花こう岩からなっており、古くから石材業が盛んでした。雪入山の山中には、数多くの石切り場跡(石を切り出した跡)が至る所に残っています。その中で最大規模と思われる花こう岩の石切り場が、七曲(ななまがり)から金命水(きんめいすい)コースを登り、途中の山道を入った所にあります。当時の採石方法がよく分かる貴重な場所ですが、今ここを訪れる人はほとんどいません。
硬質な変成岩は、地盤を固めるためのぐり石として使われました。雪入ふれあいの里公園は、この変成岩を取った採石場の跡地です。この石は砕石となり、鹿島開発や成田空港の開発などに使われました。これらの採石場では20種類ほどの珍しい鉱物(うち15種は国内初の発見)が見つかった事実は、特筆すべきことです。今では、採石によってできた窪地に水がたまり、粋な名前の池になっています。さらに、山中には金の採掘を試みた金鉱山跡などもあります。跡地は2カ所ありますが1カ所は崩落して塞がっています。
○雪入山の七つ岩巡り
雪入山の山中には、特徴ある形をした巨岩・奇岩が多く見られます。三ツ石森林公園の名前のもとになった「三ツ石」や、まるで難破船のへさきのような「観音岩」、面白い伝説のある「女房石」などが有名です。このほか「平蔵座(へいぞうぐら)」「弥勒岩(みろくいわ)」「ダルマ石」「峯岩(みねいわ)」などを含めて、通称「七つ岩」と呼んでいます。今度のお休みは、雪入山で七つ岩巡りを楽しんでみるのはいかがでしょうか。
問合せ:歴史博物館
【電話】029-896-0017
[10月号(10月20日発行)訂正とお詫び]
市民学芸員のお住まいの記載に誤りがありました。訂正してお詫びします。
[誤]房中→[正]牛渡下郷
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