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【特集】守谷市の文化財 1

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茨城県守谷市

長い歴史の中で、私たちの先祖が生み出し、今日まで守り続けてきた貴重なものである「文化財」。
今回の特集では、守谷市内で指定を受けた文化財を紹介し、地域の歴史を保存していく意味を考えます。

■先人の文化を守り伝える
○文化財の指定とは?
今日まで地域で守り伝えられてきた財産である文化財。重要なものを、守谷市文化財保護条例に基づき、教育委員会が指定しています。現在、市内には21件が文化財(うち1件は県指定)として指定されています。

○どのようなものが文化財に?
古い建造物や古文書、史跡などから、絵画、彫刻などの美術工芸品、年中行事などのかたちのないものまでさまざまです。いずれも共通しているのは、人々の暮らしの中で代々守り伝えられてきたものであり、歴史的にも文化的にも人々の心に根付いてきたということです。

○守谷市の文化財
つくばエクスプレスの開業や宅地開発により、新しいまちの印象が強い守谷市ですが、実は多くの文化財があります。特に、中世の頃に相馬氏の城だったとされる守谷城址や、県指定になっている木像釈迦如来坐像(大円寺)など、見応えのあるものも今に残されています。
自分が住んでいる地域の歴史に興味を持ち、日本の歴史にまで興味の幅が広がっていくのも面白いですね。

○文化財のこれから
文化財は、文化財保護法で「保存と活用」を目的に指定されています。守谷市では、文化財を知る機会として、デジタルアーカイブ化を一つの手段としています。文化財を保存していくのは、時として費用がかかり難しいこともありますが、これまで受け継いできたものを、何らかの形で伝えていかなければならないと思います。
歴史というのは、知れば知るほど興味が湧き、大切にしようと思えるものです。

守谷市文化財保護審議会
・会長 横張克博(よこばりかつひろ)さん
・大原逸男(おおはらいつお)さん
私たちが住んでいる土地の先人が残した文化財を皆さんに知ってもらい、歴史やまちに興味を持ってもらえると良いですね。

◆有形文化財 小菅家住宅表門
明治初期に造られたとされる、当時農業を営んでいた小菅家の表門。ケヤキの木材が、複雑に組まれており、大きな屋根が特徴的です。屋根の頂点に位置する大棟と、傾斜に向かって伸びた降棟が高く積まれています。鬼瓦や隅蓋などの装飾も立派で見応えがあります。
現在は茶房「かやの木」のシンボルとして、明治時代の旧家を改装した店内と共に、お客さんを楽しませています。

○茶房かやの木 小菅裕作(こすげゆうさく)さん
先祖代々受け継いできた場所であり、昔は多くの方が管理してくれていました。2000年に父がこの敷地を使って店を始め、今は私が継いでいます。やはりこれだけのものなので、次の世代に引き継いでいきたいと思っています。
維持は作業面・費用面共に大変なこともありますが、小学生の子どもたちは、ここで生まれ育って、すごくこの場所を気に入り、誇りに思ってくれています。
お店に来てくれた際には、ぜひ見ていってください。

◆有形文化財 木造釈迦如来坐像
平安時代(12世紀)に造られたとされる仏像。やや大きな頭部や平行線上に流れる彫りの浅い衣文など、平安時代の定朝式の特色が見られます。ケヤキを使用しており、当時は全身に金が塗られていたようです。
元禄2年(1689年)には、仏師・寂幻(じゃくげん)により修理された記録が残っており、平成26年に守谷市で唯一の県指定文化財に指定されました。

○大円寺 藤村弘明(ふじむらこうめい)さん
歴史的にも、美術的にも、大変貴重な仏像として評価していただき、嬉しく思っています。しかし、私自身が心を打たれるのは、平安の時代から数百年の時間、どれだけ多くの人がお釈迦様の前で手を合わせてきたのか、価値よりも尊さを感じます。
東日本大震災により台座が半壊状態となってしまったこともありましたが、皆様の協力で無事修復できました。次の未来へバトンを引き継いでいかなければと、身の引き締まる思いです。

◆無形民俗文化財 八坂神社祇園祭
約950戸の氏子の手によって盛大に行われる八坂神社祇園祭。高さ約10mの大幟を19本も揚げることから、別名「幟祭(のぼりまつり)」と呼ばれています。毎年7月の最終土曜日を本祭とし、その週の火曜日から5日間が祭礼日となります。
祭の見どころは地区別に登場する5台の山車と、交代なしで6時間をかけて担がれる神輿です。山車はお囃子や踊り手を乗せる回り舞台がついており、競い合うかのように勢いよく回転する様子は壮観です。
歴史をさかのぼると、少なくとも約270年前には祭りが行われていた記録があり、平成27年に守谷市初の無形民俗文化財に指定されました。

○八坂神社 下村良弘(しもむらよしひろ)さん
祇園祭は江戸時代から代々受け継がれてきた祭で、夏になれば当たり前のように行われてきました。文化財に指定され、氏子の皆さんのお囃子や神輿の渡御、幟を掲げることなど、先人から伝えられてきた「人の行い」が市の財産として認められる、これほど価値のあることはないですね。氏子の皆さんの行いが文化財に値する評価が、将来にわたって続けていくための心のよりどころの一つになるのではないでしょうか。
祭の担い手不足が深刻な現代で、このような盛大な祭が受け継がれて行けるのは、氏子の皆さんの努力によるところだと思います。先人から託された伝統文化という大切なバトンを次の世代に渡していきたいと思います。

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