■国史跡立切遺跡について
令和4年11月10日に中種子町立切遺跡、南種子町横峯遺跡が国史跡に指定されました。二つとも、約3万5千年前の後期旧石器時代の遺跡で、立切遺跡は狩猟用の「落とし穴」、横峯遺跡は調理に用いられたと考えられる石蒸しの「礫群」が発見されました。
当時は、最終氷期と呼ばれる寒冷期で種子島は地形的に温暖で、しかも古本州とは浅い海で繋がり、人や文化の交流があったと思われています。
町においても、令和6、7年度の2か年で専門家や地元関係者を交えて保存活用計画を作成することになっています。
列島最古級で世界的にも注目されている36カ所の立切遺跡の落とし穴が、現在地中に埋もれたままになっています。今後、何とかこの落とし穴を近くの坂井公園をエリアとした歴史ゾーンの中で、VR(バーチャルリアリティー)を活用してみたり、入って体験したりする方法を検討してみてはどうでしょうか。
最後に、令和4年12月に開催された指定記念シンポジウムにおける三名の専門家のコメントを参考に掲げます。
・南からのルートの研究がさらに進めば、古本州の玄関口として種子島の旧石器時代遺跡は新たな脚光を浴びるかもしれません。
・旧石器時代の遺跡保護は難しく、全国でも極めて数が少ない。発見し、その意義を訴え、またその理解にたって保護に結びつけたすべての関係者の努力に感謝し、地域の誇りとして大切に保護されていくことと願います。
・史跡の価値と活用のアイデアの組み合わせは無限大です。
史跡を通して種子島の未来を考えるきっかけになることを願っています。
町文化財保護審議員
鎌田秀一郎
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