くらし 【特集】政策アドバイザー(2)

■Bグループ「都市ブランド・観光」
◇大西 雅之(おおにし まさゆき)氏
鶴雅ホールディングス株式会社
代表取締役社長

現状、インバウンドの延べ宿泊数が全体の15%を下回っている点については、函館の知名度を考えると、今後さらに伸ばしていく余地があると感じます。その背景や要因を整理することが重要です。函館は魅力ある街ですが、特にリピーター層に対しては、体験の広がりを感じてもらえる工夫が必要ではないでしょうか。周辺地域を含めた「グレーター函館」として地域を結び、漁村や里山の景観も観光ルートに取り入れることで、より深く楽しんでもらえると考えます。また、函館山に加え、五稜郭や湯の川温泉などに新たな拠点性を持たせることができれば、魅力向上とオーバーツーリズム対策の両面で効果が期待できます。市民参加型のイベント創出は、新たな収入源としての可能性もあると思います。

◇野村 修也(のむら しゅうや)氏
中央大学法科大学院教授・弁護士

函館の夜景をもっと盛り上げるためには、例えば、過去にあった「夜景の日(8月13日)」のような取り組みを再度行い、市民が一緒になって函館の夜景を盛り上げることが大切です。夜景の日に合わせて花電車を走らせるのも良いかもしれません。また、湯の川温泉の再興については、温泉とスポーツ選手の治療を結びつけ、長期間利用できる施設を整備することで、観光客だけでなく、スポーツ選手も函館に引き寄せることができます。さらに、スポーツデータセンターを函館に誘致することで、スポーツビジネスを中心とした新たな拠点が生まれると考えています。熱海の復活事例のように、地元住民が温泉や観光地を再発見し、地域全体で魅力を発信することが重要です。住んでいる人が感動しない観光地にリピーターは来ません。市民の力を借りて函館のブランドを強化していけると思います。

◇丸谷 智保(まるたに ともやす)氏
株式会社セコマ 取締役会長

函館ベイに新しく出したセコマの店舗は、地元の方が3割、観光客が7割という構成で、まさに“流動人口に支えられている”のが、この地域の特徴だと感じています。観光については、歴史的な建物と、それを楽しむためのコンテンツの組み合わせがもっと必要だと思っています。観光ガイドにきちんと投資して育てることや、食と観光を結びつけたコンテンツを充実させることも大事です。函館は高価なものではない“手の届くおいしさ”がそろっている街で、それはすごい魅力です。こうした強みを生かして観光客を呼び込み、宿泊税などでつくった財源でオーバーツーリズム対策をし、さらに魅力を高めていく。そんな好循環を生み出せるポテンシャルが函館にはあると思います。

■Cグループ「ウェルビーイング」
◇塚原 月子(つかはら つきこ)氏
株式会社カレイディスト
代表取締役社長兼CEO/G20
EMPOWER 日本民間共同代表

本当に困っている人ほど相談窓口に来られないという課題があります。『来てください』と呼びかけても届きにくく、情報が届かないまま孤立してしまう方も少なくありません。だからこそ、こちらから積極的に訪問してつなぐ“おせっかいな支援”、いわゆるアウトリーチがとても重要です。函館市のような規模の自治体だからこそ、住民に寄り添った細やかな支援が実現できるはずです。他の自治体でも成功例がありますので、ぜひ強みとして伸ばしていただきたいと思います。インクルーシブ教育に関して、函館ならではの特徴的な教育モデルを考え、他の自治体とは違った形で自由で伸びやかな学びの機会を提供できればよいのではないかと思っています。※オンライン参加

◇山崎 史郎(やまさき しろう)氏
内閣官房 人口戦略本部・全世代型
社会保障構築本部事務局 総括事務局長

若い人が進学や就職で市外に出たあと、なかなか戻ってこないことは大きな課題です。ただ、出ていった多くの方は“帰れる環境があれば戻りたい”と思っていて、そのきっかけは出産の時や子どもの小学校入学の時が多い。自治体として、その機会にしっかりと受皿を用意できるかどうかが重要になります。例えば、出産費用の無償化は、地方ならではの施策として大きな魅力になり得ます。また、共働きで子育てしやすい環境づくりは、函館でも取り組める部分は多いはずです。市役所自身が“魅力ある雇用主”であることが大切です。若い人に選ばれるまちをめざすには、まず自治体が率先して正規雇用を増やすことを考えてほしい。Uターン施策として、出ていった人に地元の情報を定期的に届けるようにすることも必要です。

■函館市長
大泉 潤(おおいずみ じゅん)

人口減少対策として、「人材躍動」「海洋産業再生」「宿泊倍増」「都市再起動」「知の都」の5つのプロジェクトチームをつくって前進させていきたいと考えています。特に「人材躍動プロジェクト」では、新しい雇用を作り出し、地場産業の再生や企業誘致、スタートアップ支援を進めていきます。また、海洋産業の再生では、コンブの再生や新しい魚種のブランド化、漁業の再活性化を目指します。観光業では、宿泊数を倍増させるために取り組みますし、中心市街地の活性化も重要な課題です。「知の都」プロジェクトでは、函館を国際的な都市にするため、海洋研究やAI、ITの融合を進めていきます。まずは立ち上げて、走りながらさらに考えて進めていきたいと思っています。
去る9月20日、政策アドバイザーの伊藤隆敏様がご逝去されました。伊藤様のご冥福をお祈りいたします。