くらし 市長コラム 夢かなうまちおびひろ

■国際定期便の就航
帯広市長 米沢則寿
5月21日から、帯広と韓国の清州(チョンジュ)を結ぶ直行便が運航を開始しました。とかち帯広空港初の国際定期便が、中国や台湾ではなく韓国との路線と聞いて、意外に感じた方もおられるのではないでしょうか。実は私も少し驚いたのですが、昨年、日本を訪れた外国人旅行客約3600万人のうち、最も多いのは韓国からの旅行客であり、全体の約4分の1を占めています。
定期便を運航するのは韓国のエアロK航空で、いわゆるLCC(ローコストキャリア)の一つです。なじみのない方もいるかもしれませんが、LCCは大手航空会社と同様の安全基準を満たしているのはもちろん、機内サービスの簡略化など、さまざまな工夫で経営を効率化し、低価格な運賃で運航しています。現在、LCCは日本で離発着する国際線の約3割を占め、年間で約2300万人以上の利用があります。帯広と清州間の運賃を最安値で見ると、往復で2万円程度となっているように、手が届きやすい価格帯のLCCは、海外への移動手段の一つとして若い世代を中心に定着してきています。
また、とかち帯広空港から清州空港までは約3時間のフライトで、そこから清州市内までは30分程度でアクセスすることができます。首都ソウルまでもバスで1時間40分の距離にあり、羽田空港や新千歳空港を経由する国内旅行などと比較しても、アクセスの良さを感じられるかもしれませんし、見方によっては函館などの道内に行くよりも近いと感じる方もいるのではないでしょうか。一般的には海外旅行は「高い」「遠い」という先入観があると思いますが、これを機に十勝・帯広の皆さんにとっても身近なものになっていってくれればと感じたところです。
今回の定期便就航に至る過程で、エアロK航空のカン社長が十勝・帯広に来訪した際、地域の起業家たちが交流を図る場に参加してもらいました。カン社長自身が起業家でもあり、十勝・帯広の人材やビジネスの可能性に興味や魅力を抱いてもらえたことも、就航のきっかけの一つになったのではないかと感じています。
この定期便就航により両地域がつながることは、韓国からの旅行者による地域経済への波及効果だけでなく、新たなビジネスへの展開や、これまで想像していなかった形での交流が生まれる可能性も秘めているように思います。今後、この路線が十勝・帯広の将来的な発展につながるよう、皆さんとともに育てていきたいと思います。