- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道網走市
- 広報紙名 : 広報あばしり 2025年11月号
■避難所でも安心して暮らすために
◇心の健康を守るため、避難所でのプライバシー確保という「必需品」
災害時、命を守る拠点となる避難所。しかし、不特定多数が集まる特殊な環境下ではプライバシーの確保は難しく、その精神的ストレスが「災害関連死」の遠因になる場合もあります。プライバシーは決して贅沢ではなく、人間の尊厳を守り、過酷な状況を生き抜くための「必需品」なのです。
◇プライバシーが脅かされる具体的な場面
避難所では仕切りのない空間での「雑魚寝」が一般的で、着替えや休息もままならず、常に誰かの視線や物音に晒されます。特に女性や乳幼児を抱える母親にとって、更衣や授乳場所の確保は切実な問題です。また、安心して使えないトイレは衛生問題だけでなく、防犯上の不安も生み、水分摂取を控えるなど健康を害する行動にも繋がってしまいます。
◇個人でできる「自助」の備え
こうした状況に対し、まずは個人でできる「自助」の備えが重要です。段ボールや大きな布、突っ張り棒などで、居住空間を簡易的に囲むだけで安心感は大きく増します。アイマスクや耳栓は休息の質を高め、被るだけで着替えができる「着替えポンチョ」なども役立ちます。また、防犯ブザーやホイッスルなどの防犯グッズの準備や、なるべく一人で行動せず信頼できる人と行動するなど、こうした小さな準備や行動が自分や家族の安全を守ることにつながります。
◇協力して守るプライバシー
周りと協力する「共助」の視点も欠かせません。避難所の運営者と協力し、「更衣スペース」や「授乳室」といった目的別の空間分け(ゾーニング)を行うことや、「人のスペースをのぞかない」「カメラをむやみに人に向けない」といった基本的なルールを共有することが、全体の安心に繋がります。
災害は家だけでなく、心の平穏も奪います。その中で自分だけの空間を少しでも確保することは、明日への活力を養うために不可欠です。防災リュックを見直す際には、食料や水に加え、こうした「プライバシーを守るグッズ」もぜひ加えてください。その備えが、いざという時にあなたと大切な人の心を守る盾となるはずです。
問合せ:網走市男女共同参画プラン推進会議編集委員
