くらし 人の森

●「めねっと北広島」副会長
納谷 裕子(なや・ゆうこ)さん
北進町在住。
視覚障がい者と健常者が交流する団体「めねっと北広島」の副会長。
ウオーキングイベントのリーダーとしても活動。
自身も視覚障がいがある。

◆笑顔で前向きに毎日を過ごしたい
◇40代で網膜色素変性症を発症
視覚障がい者と健常者が交流する市内の団体「めねっと北広島」が発足して今年で7年目。自身も視覚障がいがある納谷さんは設立当初から副会長として活動している。
視力の低下を感じたのは、今から約20年前。元々近視が強かったが、物が見えにくい状態が続き医療機関を受診。視力が徐々に失われる「網膜色素変性症」と診断された。
「診断を受けたときは本当にショックでしたね。そのときはまだ見えていたので、いつ失明してしまうんだろう、動けなくなったらどうしようと常に不安でした」と当時の心境を語る。

◇辛い気持ちを乗り越えて
失明の恐怖や生活の不安から、家に閉じこもりがちな日々が続いた。外に出るきっかけになったのは、夫が支えてくれたこと。「主人が『家に閉じこもっているより、外で元気に活動してくれた方が安心だ』と言葉を掛けてくれました。それからは、積極的に外出するようになりました」と感謝する。
その後「めねっと北広島」代表の山口久美子さんと団体を設立。ウオーキングイベントのリーダーとして毎月1回「土曜の歩く会」を開催し、トリムコースやエルフィンロードを仲間と話しながら3kmほど歩いている。団体のメンバーに誘われたことがきっかけでマラソンも始めた。運動は苦手だったが練習を続け、毎年Fビレッジハーフマラソンの3km部門に参加。「仲間と声を掛け合って助け合いながら走る事が楽しいです。運動は生きる活力になっていますね」と今年も完走を目指す。「昔の自分のように家に閉じこもっている人の心が、少しでも軽くなればと思って活動しています」

◇皆が生活しやすい社会に
ぼんやりとしか見えないので、外出や買い物をするとき困ることもあるそう。「周りに助けを求めたいけれど近くに人がいるか分からないときは不安ですね。大丈夫ですか?と声を掛けてもらえると、とてもありがたいです」
さまざまな事情を抱えた人が暮らす中、ちょっとした気遣いでお互いが過ごしやすくなる。皆が安心して生活できる方法を考えたい。

*「めねっと北広島」は、ウオーキングイベントの参加者を募集しています。
詳しくは本紙27ページをご覧ください。