文化 文化財のひろば・シリーズ182

■縄文時代の食べ物
縄文時代は狩猟や漁労、採集を中心とした定住生活を営んでいた時代で、最近の研究では自分たちで植物を育てていたことも明らかになりつつあります。町内の遺跡でも動物の骨や炭化した種実が出土することがあり、当時の人々が食べていたものを推測できます。今回は、この地で暮らしていた人々が何を食べていたかをご紹介します。
陸上では狩りに出てウサギやシカ、ヒグマなど動物の肉を食べていました。鷲ノ木遺跡や鷲ノ木4遺跡では、北海道に生息していないイノシシの骨も出土していて、海を越えた交流で食料を得ることがあったのかもしれません。
尾白内貝塚では、クジラやアシカなどの海獣類の骨、マグロやヒラメ、サケなどの魚の骨、ウバガイなど貝殻が出土しています。海のものは漁に出たり、浜に打ちあがった動物を食べていたと考えられ、豊かな内浦湾の恵みは縄文時代の人々も活用していたようです。
木の実はクリやクルミ、ドングリなどを採って食べていました。森川貝塚などでは炭化したクリの種実が出土しており、鷲ノ木遺跡等の土を分析するとクリやドングリの花粉が検出されています。あく抜きが必要な食材もありますが、土器で煮炊きをして食べていたことでしょう。
遺跡から出土している資料を見てみると8,000年前から始まる人々の生活はとだえることなく脈々と今に繋がっており、森町が自然豊かで住みよい場所であることを示しているのかもしれません。