しごと 黒松内の酪農・畜産

黒松内町の特産品のチーズやアイスクリーム、そして黒毛和牛は、豊かな自然と、それを活かす酪農・畜産によって生み出されています。
今月は愛情と情熱をもって牛を育て、私たちの食卓を支えている生産者にスポットを当てます。

■飼養戸数の推移
肉用牛や乳用牛、鶏など、特定の目的で動物を飼養している農家や施設の数を飼養戸数といいます。
全国の酪農・畜産における飼養戸数は一貫して減少傾向にあります。後志管内随一の酪農のまちと言われている本町も例外ではありません。統計資料によると昭和50年には乳用牛214戸(頭数2,939頭)、肉用牛26戸(212頭)の飼養戸数でしたが、50年経った令和7年は、乳用牛11戸(969頭)、肉用牛6戸(476頭)と大幅に減少しています。しかし、戸数が減る一方、一戸当たりの飼養頭数は増加しており、経営の集約化と大規模化が進んでいます。

一戸当たりの平均飼養頭数
昭和50年…13頭
令和7年…85頭

■町の取り組み
町では新規就農を目指す方へ、農業体験実習や就農研修の支援、農用地等取得費助成といった、様々な支援制度を設けています。
実際に新規就農者研修を経て、新しく畜産業を始めた方や耕作放棄地を活用して、周年放牧で一貫経営を行っている畜産農家もいます。
また、まちの酪農・畜産を盛り上げる地域おこし協力隊の募集や、酪農ヘルパーとして活躍する方々の募集も行い、これからのまちの基幹産業を支える次世代の人材育成にも取り組んでいます。
そのほか、近年では環境再生型農業と言われる、家畜の飼育と環境の保全等を結び付けた新しい形での畜産業の取り組みも行われています。
町では、酪農・畜産の維持とさらなる発展に向け、こうした多くの支援や取組を継続していきます。

■ようてい酪農組合黒松内支部支部長 山下竜治さん
この仕事を始めて今年で38年になります。
この仕事をしていくうえで毎日の搾乳作業が大変ですが、日々、こうした作業を継続していくことが重要だと思うのでしっかり取り組んでいます。
今年の大きな課題は異常気象でした。天候によって牛の体調や与える飼料にも何かしら影響が出てしまうので、やれることは少ないですが、気候に合わせて牛舎の設備等を利用して管理に気を使いました。
現状、高齢化や担い手不足によって、農家の数が減り、こうした状況を打開するために、地域おこし協力隊による新規就農者の募集といった、農協や役場との連携は重要だと感じています。また、他町村では、辞めてしまう農家さんの牧場を新規就農者が引き継ぎ経営する取り組みも行っているようなので、そういった取り組みを増やすことで、少しでも多くの仲間を増やし、黒松内の基幹産業を長く支えていければいいなと思います。

■ようてい和牛生産改良組合黒松内支部支部長 鈴木啓二さん
自分が父から仕事を引き継いで今年で22年くらいになります。
この仕事をしていくうえで、動物の相手をするわけですから、日々、忙しいなと感じることもありますが、その分市場出荷の時に自分の育てた牛に高値が付くと、それだけ評価してもらえたと思うのでうれしいですね。
今年は去年に比べて市場相場が上がっていて、いい方向を向いてはいますが、やはり1頭1頭の単価をもう少し上げていきたいと思うので、来年以降は飼育管理の見直しをしっかりと行って改善していきたいですね。
また、高齢化や後継者不足によって、この仕事の担い手が減っていくのは明らかなので、経営規模の大小などは関係なしに、個人個人が、黒松内町の基幹産業である酪農・畜産業を継続して支えていけるように発展していけばいいなと思いますね。

■〔10/22(水)〕ひと回り大きくなった牛たち 町営牧場 下牧
今年の5月に作開の町営牧場に入牧した肉用牛と乳用牛の下牧を行いました。
耳標番号を基に振り分けられた牛に、牧夫が熟練の手さばきでモクシ(牛の顔につける手綱)をつけて誘導し、トラックへと積み込みました。
5か月間、牧夫が愛情を込めて広々とした牧場で伸び伸びと育てた牛は、2割から4割ほど体重が増え、ひと回り大きくなって農家の元へ帰っていきました。

■〔10/25~26〕全日本ホルスタイン共進会
10月25日、26日の2日間、安平町で『第16回全日本ホルスタイン共進会』が開催されました。
全国から出品された牛は全386頭で、本町三軒の生産者から6頭が出品されました。
全国の強豪がひしめく中、SplendDairy株式会社(南作開)から出品された牛は、第13部門において優等賞に選ばれ、その中でも4席という素晴らしい成績を収めました。
また、二階堂和敏さん(上大成)が出品された牛も、第2部門で同じく優等賞を獲得し、6席という好結果を残しました。
さらに、居川孝志さん(北作開)が出品された牛は、第7部門において2等賞7席を受賞し本町の牛の優秀性を全国に示しました。