文化 感動の場―点

■『馬の親子』1994年小川原脩画
今年の干支は「うま」。小川原脩は70年にわたる画業で馬をモチーフにした作品を多く描いた画家として知られています。北海道開拓の時代から開墾の動力だった馬は小川原の幼少期から身近にいた動物でした。小川原作品の中には荒々しい表情の馬や、馬体をねじ曲げたものなど多彩な馬が描かれていますが、今回は見ていると心が暖まる一点を紹介します。
優しい陽光を背景に馬の親子が描かれた作品です。馬の足元には1匹のキツネもいます。軽やかな筆使いで動物の輪郭を描きつつも、母馬の大きな頭と力強い足は農耕馬の特徴を捉え、キツネが歩く様子も生き生きと描かれています。親子に気付かれぬよう、そろりそろりと足音を忍ばせている様子を表現しているのでしょうか。茶色い絵の具を使って地面と馴染むように色を重ねています。
そんなキツネを気にすることもなく乳を吸う子馬の姿は愛くるしいだけではなく、北国で生きることのたくましさと生命力を感じます。馬の親子とキツネ、2つのモチーフで構成された北国の情景から、小川原の生き物を思いやる気持ちが伝わってくる作品です。

文:金澤逸子(小川原脩記念美術館学芸スタッフ)