- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道栗山町
- 広報紙名 : 広報くりやま 令和7年12月号
町史資料調査室・研究員/青木隆夫
◆No.41 時の鐘と除夜の鐘
大晦日に町内の寺々から聞こえる除夜の鐘。一年の煩悩を払い、年の納めと新しい一年の始まりを告げるのは、この鐘堂から聞こえる梵鐘(ぼんしょう)が晦日の風物詩です。
神社の音といえば、参拝の時に振る鈴の音を想像する方も多いと思いますが、少ないながら「神鐘(しんしょう)」と呼ぶ鐘を備えた神社もあったようです。
栗山でも、戦前までは角田神社にこの神鐘があり、時を刻む鐘を鳴らしていました。
鐘楼(しょうろう)が境内に設けられたのは明治43年。大井分から角田に神社が移された時に農場主の高木兼寛と福井正之が寄進し、今は国宝で国内最古の鐘として知られる、大宰府にある筑前観世音寺(ちくぜんかんぜおんじ)の鐘を模して鋳造されたと記録されています。
時計がまだ一般的でなかった時代、時を知らせるのは鐘でした。今では腕時計やスマホで時間を知ることができますが、一日の時刻はこの鐘がゴォーン・ゴォーンと知らせていました。残念なことに、神鐘も戦時期の昭和18年、国の金属類回収令(供出)で消えてしまいます。
戦後80年を迎えた今年でしたが、鐘すらも戦争の道具に変えることなく新年も平和な時を刻んで欲しいものです。
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