- 発行日 :
- 自治体名 : 北海道足寄町
- 広報紙名 : 広報あしょろ 令和7年6月号
■化石って何だろう?
博物館で展示の解説をするときに、館の名前を確認してから始めるときがあります。「足寄で見つかった」「動物」の「化石」の博物館なので、『足寄動物化石博物館』なんですよ、というようにです。そこから地層や化石の話を始めるのですが、残念ながら「化石とは何か?」について詳しく説明することは時間の都合上あまりありません。では、化石とは一体何なのでしょう?私が大学で地質学の勉強を始めたころ、化石について「石みたいだ」と感想を言ったことがあります。その時の先生は、「みたい」ではなく「石」です、とバッサリ答えてくれました。面白いことにこのやりとりは、博物館の来館者と私の間で何度も繰り返されています。もちろんバッサリ「石です」とは答えませんが。生き物が石に変わってしまうことは、多くの人にとって不思議なことなのです。
辞書の説明には、化石とは生き物の体の一部や痕跡が地層中に残されたもの、とあります。このうち、足跡や巣穴などの痕跡については、泥や砂の上に残された跡が残っているということなので、石であることはわかりやすいです。貝の化石などでも、残った跡が型になり、その型に砂や泥、鉱物が入り込むことで化石になることもあります。また、跡が残るという点では、なんと細胞の構造が跡に残ることで、殻や皮膚、羽毛などの本来の色や模様がわかった例もあります。
ではどうやって骨や貝殻が「石になる」のかというと、骨や貝殻はその形を保ったまま、成分が石の成分に置き換わっているのです。形と言っても目に見えない細かい構造も含みます。貝殻だったらある部分の炭酸カルシウムが溶けだして、その部分に二酸化ケイ素が入り込んでいきます。このこと自体が不思議なことですが、この成分の置き換わりというのは石の世界ではさらに細かいレベルで普通に起こっていることで、多くの鉱物がこの成分の置き換わりで別の鉱物になっています。骨や貝殻も生き物の体で作られている鉱物なので、不思議ではない、ということになるのですが、長年化石を見慣れていても、生き物が「石」になるのはやはり不思議です。
◎アショロアなどの「骨」が「石」になる変化はこのモラワン層の中で起こりました。
詳細:博物館
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