しごと 軽米の輝き人 vol.55

■全国の舞台で技を競う 建築職人への第一歩
岩手県立二戸高等技術専門校2年生
戸舘 智哉
TODATE TOMOYA

令和7年10月17日から20日まで愛知県国際展示場(Aichi Sky Expo)で開催された「第63回技能五輪全国大会」に、岩手県立二戸高等技術専門校建築科2年の戸舘智哉さん(軽米高卒)が県代表として出場した。全国から23歳以下の青年技能者1025人が42職種で技を競い合う中、岩手県代表として建築大工の職種に挑んだ。
代表選考では、建築大工の2級技能士課題に取り組み、作品の出来栄えや精度が評価されて県代表に選出。「出られたらいいなと思っていたので、選ばれたときはうれしかった」と当時を振り返る。建築大工部門では県内唯一の専門校生として参加し、企業所属の選手たちや全国の学生に混じって堂々と技を披露した。
競技では、与えられた設計図面をもとに木材を正確に加工・組み上げていく。限られた時間の中でひとつひとつの寸法や角度を合わせる集中力が求められ、「一か所長さを誤ってしまい焦ったが、修正して形にできた」と話す。緊張の中でも最後までやり遂げた経験を、今後の糧とする。
父の姿に憧れて建築の道に進んだ戸舘さん。幼い頃から木工に親しみ、「カンナ掛けで木肌がつるつるに仕上がった瞬間が一番気持ちいい」と笑顔を見せる。大会を通じて技術力や図面理解力が飛躍的に向上し、全国のレベルの高さにも刺激を受けたという。
卒業後は県北地域の建築会社に就職予定。「いつかは一人で家を建てられる大工になりたい」と語る。確かな技と情熱で、町民の暮らしを支える存在として今後の活躍が期待される。