- 発行日 :
- 自治体名 : 宮城県仙台市
- 広報紙名 : 仙台市政だより 2026年2月号
東日本大震災を語り継ぐため市民図書館に設けた「3・11震災文庫」。所蔵する約1万冊から、よりすぐりの本をご紹介します。
◆海辺とともに
舞台美術家、海辺の図書館 大沢 佐智子
◇「地名は知っていた 津波被災地を歩く(上)(下)」
太宰幸子/著
河北新報出版センター/刊
せんだい3・11メモリアル交流館にある「3・11震災文庫」コーナーから2冊ご紹介します。
土地の記憶が刻まれた地名を優しく指でなぞるように、著者の太宰さんは震災の爪痕が残る沿岸部15市町140地区を歩き、そこで目の当たりにした風景や出会った方の言葉、幾重にも層を成す土地への思いと祈りを本書の中で丁寧に描き記しています。
その温(ぬく)もりを分けていただきながら辿(たど)る読書体験を通し、土地の記憶が静かに深く心に沈殿するような感覚を覚えます。「自分の家のあったところへ足が向いてね。来ないではいられない」。そう語られた土地を、今、この本を携え歩いてみたくなりました。
◇「『仙台市荒浜の民俗』仙台市歴史民俗資料館調査報告書第2集」
仙台市歴史民俗資料館/編・刊
仙台市荒浜は、津波で被災し災害危険区域に指定され、現在、人が住めない地域になっています。この土地にはかつて、風土に根ざした半農半漁の暮らし・文化風習がありました。本書には、その豊かな営みが鮮明に記されています。
地元漁師が用いた「風の呼称」が風向きと共に方位図に示されています。今、この土地を訪ねれば、その風を感じることができます。1922年(大正11年)に途絶えた「荒浜磯獅子踊」については3ページ半にわたり紹介されています。その記述を基に、現在、元住民の方を中心に人が集い、郷土芸能の再生に向け動き出しています。
荒浜の今と、これまでとこれからを紡ぐ1冊です。
紹介した本は、市民図書館でご覧いただけます
問合せ:市民図書館
【電話】261・1585
