- 発行日 :
- 自治体名 : 宮城県多賀城市
- 広報紙名 : 広報多賀城 令和8年1月号
■『不易流行のまちづくり、新たな一年の誓い』市民とともに紡ぐ、文化と*ウェルビーイングのまち
*ウェルビーイング:心身ともに満たされた状態のこと
新年、明けましておめでとうございます。
皆様にはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
「梅が香に のっと日の出る 山路かな(松尾芭蕉)」
梅の香りに誘われるように、希望に満ちた新しい一年の幕開けを感じております。
昨年の元旦、地元紙の一面を飾った『多賀城政庁復元構想』から一年が過ぎました。
現在、宮城県が設置する多賀城政庁復元整備検討会において、復元規模などの方向性が示され、1300年前の多賀城が着実に蘇ろうとしています。
この計画は、市川地区の公有化にご協力いただいた地元住民の皆様をはじめ、多くの関係者の皆様のご尽力によって進められています。
今後の復元過程においても、より多くの皆様に関心を寄せていただき、宮城、そして東北の誇りとなる場所にすべく、全力を尽くしてまいります。
さて、市長という役目をお預かりしてから五年が過ぎましたが、多くのご縁を頂戴していることに、いつも感謝しております。ご縁は人だけとは限らず、恥ずかしながら和歌との出会いも私の人生に彩りを添えてくれています。
市長就任から二週間後に開催が決定していた『令和の万葉大茶会』。これは、万葉集の『梅花の宴』を茶会形式で再現し、新元号[令和]の典拠を現代文化として発信する文化イベントです。
東京から始まり、高岡市、鳥取市、太宰府市、本市、明日香村、大阪・関西万博と国内を巡回して開催しましたが、多くの和歌に触れる機会を頂戴し、まさか私が和歌で涙する日が来るとは、自分自身でも不思議な感覚でした。
「しろがねも くがねも玉も なにせむに まされる宝 子にしかめやも」
この歌は山上憶良が詠んだもので、銀も金も玉も何になろう、それらに勝る宝は子に及ぶものはない。つまり、どんな財宝よりも子どもこそが最も尊い宝だという家族愛、人間の本質的価値観を示した歌です。
私は、いつの時代でもそうあるべきだという姿勢を学んだ気がしました。
そして、市内にも多くの歌枕があり、碑文が国宝認定された多賀城碑もあります。
まさに言葉で紡がれたまちが私たちの『賀(よろこ)び多き城』です。市民の皆さんには、身近に言葉で紡がれた文化を感じることができる幸せを実感していただけたら幸いです。
また、多賀城創建1300年を記念して始めた各種文化事業では、俳聖松尾芭蕉の俳諧理念である「不易流行」をまちづくりに取り入れたパブリックアートやファッションショー、多賀城シネマコンプレックス、壺の碑全国俳句大会などの事業を継続的に発信し続けることで、市民のウェルビーイングを高めたいと思います。
私たちは、人口減少社会という答えのない未来を創造しながら、市民の生命と財産を守り、次の世代へ多賀城を繋ぐ担い手です。
今まで通り、市民の皆様と対話を大切にしながら、社会の変化や地域の課題を真正面から受け止め、全体を俯瞰しながら行政運営をしてまいります。
結びに、市長という役割を預かる重責に感謝を忘れず、謙虚に邁進しますので、本年も変わらぬご指導ご鞭撻をよろしくお願いいたします。
多賀城市長 深谷晃祐
