イベント 【特集】人形劇がはじまるよ

10月、市立図書館と市立幼稚園で行われた人形劇の公演。舞台に登場したのは、楽しい音楽に合わせて元気いっぱいに動く、個性豊かな人形たち。
会場に集まった観客は、人形劇の世界にすっかり引き込まれ、一緒に笑ったり驚いたりと、生き生きとした表情を浮かべています。
今月は、高清水地区を拠点に活動する人形劇サークルころころの取り組みと、人形劇の魅力を紹介します。

(1)人形劇サークルころころによる、ブレーメンの音楽隊の一場面。演者の表情は真剣そのもの。
(2)多くの観客が集まった市立図書館での公演。
(3)市立図書館では、原作絵本の貸し出しも行われた。
(4)ユーモアあふれるせりふと動きを楽しむ親子連れ。
(5)動物たちが怪物の振りをして泥棒を追い払う場面。怪物は雨傘と布で作られている。
(6)人形劇に目がくぎ付けの園児たち。
(7)手を伸ばすと届く距離で人形たちが動く場面もある。
(8)人形に握手をせがむ園児たち。
※写真は本紙3ページをご覧ください

■[インタビュー]人形劇で心躍る時間を
31年前、子育て真っ盛りの主婦たちが中心となって活動を始めた「人形劇サークルころころ」。
代表の海老田さんに、活動への思いや、人形劇の魅力を伺いました。

◇手づくりの人形劇で届ける笑顔と勇気
人形劇サークルころころ
代表 海老田 慶子 さん(高清水9区)
「自分や地域の子どもたちのためにできることをしたい」。その思いから活動を始めました。しかし、人形劇をやりたい思いはあっても、全くの素人。初演までの2年間は、人形の作り方や動かし方などの基礎を学びました。大変な日々でしたが、自分たち自身が楽しむ気持ちを忘れませんでした。そうでなければ、観客に何も伝わらないと考えていたからです。その気持ちを、今も大切にしています。
私たちの人形劇は、脚本から人形、背景や小道具まで、ほとんどが手づくりです。メンバーでアイデアを出し合い、工夫を凝らしています。そのうちの一つが、演じ方です。人形劇は、人形だけが舞台に出て、演者は観客に姿を見せないのが一般的です。私たちも最初は、その手法を取っていました。
しかし、観客の表情が見えないことが残念で、全身を見せたまま人形を操る手法に変えました。そうしたことで、観客の表情が見えるようになった他、人形を生き生きと動かせたり、客席に近づくことができたりと、表現の幅が広がりました。特に子どもたちは、人形が近づくと大喜びし、私たちもうれしくなります。
人形劇の魅力は、演者と観客が一体となって、心躍る時間を共有できることです。悪役と戦う主人公に「頑張れ」と一生懸命に声をかける子や、登場した人形に愛おしそうに触れる子。懐かしそうに楽しんだり、せりふに共感してうなずいたりする大人。その姿を見るたびに、私たちと観客の心がつながり、共に楽しい劇を作りあげられたと感じます。
これまで活動を続けられたのは、温かく見守ってくれた地域の人たちや、公演を楽しみに待っていてくれる観客のおかげです。これからも、困難に立ち向かう登場人物の姿や、物語に込められた思いを通じて、観客に笑顔と勇気を届けていきます。
◎僕や楽器、その他の小道具もメンバーの手作りだよ。
※写真は本紙4ページをご覧ください

(1)~(3)普段の練習の様子。毎週水曜日にメンバーが練習会場に集まり、和気あいあいとした雰囲気の中で技術を磨いている。
(4)~(6)自作の背景や小道具には、手づくりならではの温かみが感じられる。また、脚本は原作を踏まえつつ、オリジナルの要素が盛り込まれている。
(7)メンバーと、ブレーメンの音楽隊に登場した人形たち。メンバーの生き生きとした動きが、人形たちの魅力を引き出している。
(8)~(9)本番前の会場準備の様子。照明器具を持参し、光の当て方にも気を配る。動きの確認は、本番直前まで行われる。
※写真は本紙5ページをご覧ください

■心にともる明かり
デジタル機器が身近になり、映像やゲームなどでさまざまな仮想世界を楽しめるようになりましたが、人形劇にはデジタルでは決して伝えることができない温もりがあります。
舞台上で生き生きと動く人形たち。演者のせりふや、音楽が生み出す空気感。観客それぞれの想像力が世界観を何倍にも膨らませ、演者と心を通わせながら物語を紡ぐ。人の手で動かし、人の心に伝える人形劇の楽しさは、直接の体験ならではのものです。
観客との垣根を取り払い、心のつながりと楽しさを大切にしながら公演を続ける、人形劇サークルころころ。メンバーは、一人でも多くの人の心に温かな明かりがともることを願いながら、人形たちと共に今日も演じ続けます。
次に心の明かりがともるのは、皆さんかもしれません。さあ、心躍る人形劇のはじまり、はじまり。

◆人形劇サークルころころでは、公演依頼を受け付けています。
地域のイベントや、お茶っこ会など、みんなで人形劇を楽しみませんか。
ぜひ、気軽に連絡してください。

問合せ:人形劇サークルころころ 代表 海老田
【電話】58-2610