- 発行日 :
- 自治体名 : 宮城県栗原市
- 広報紙名 : 広報くりはら 令和7年12月号
(244) 長崎村風土記御用書出
「風土記御用書出」は、安永年間(1772〜1781年)に仙台藩が領内の村々の様子を把握するために各村や知行地※単位で作成させたもので、「安永風土記」とも呼ばれています。村名の由来、田畑の収穫高、男女別の人口、家や牛馬の数、名所旧跡、寺社などほぼ統一された項目により記載されており、村の実態を把握するための重要な調査報告書でした。
長崎村の風土記には、村名の由来について「藤原秀衡公の家臣、長崎四郎隆実の領地となり、その後村名となっていると言い伝えられている」とあります。
大土森や長崎川、不動の滝など現在でもよく知られている場所が紹介されている他、藩の所有である「御林」6カ所と「堤」25カ所、「堰」6カ所の名称が記載されており、管理された山や用水に囲まれた村の様子を伺わせます。「産物」としては米を挙げており、品質が良いため、御膳米として上納しているとの説明があります。
このように、村の経営状況を克明に記す一方で「名石」として、弁慶や源義経にちなんだものとして知られる岩や「古館」として、長崎四郎隆実の居城と伝わる城跡など、ご当地の名所といえるような紹介もあり、当時の村に関するさまざまな情報が詰まっています。
村の様子を共通の項目で記載することで、藩内の村を比較することができるだけでなく、それぞれの村の特徴も知ることができる、大変貴重な史料です。
※将軍や大名が家臣に与えた土地
種別:市指定有形文化財 古文書
指定日:平成16年9月21日
所有者:栗原市
問合せ:教育部文化財保護課
【電話】42-3515
