- 発行日 :
- 自治体名 : 宮城県東松島市
- 広報紙名 : 市報ひがしまつしま 2025年6月1日号
■6月4日(水)~10日(火)は歯と口の健康週間
歯と口の健康維持は、乳幼児期から高齢期まですべての方の心と体の健康管理に欠かせない要素です。適切なセルフケアと定期的なプロフェッショナルケアで生涯にわたり口腔健康管理の実践のコツをお伝えします。
●人生100年時代 毎日の健口習慣
村松歯科医院 院長
村松 正利(むらまつまさとし)さん
健康寿命の伸長には口腔の健康が大きく寄与しています。おいしい物を自分の口から食べ続けるにはどうしたらいいかを考えていきましょう。
(1)虫歯や歯周病を予防するには
歯を失う原因のほとんどは虫歯と歯周病で、どちらも歯垢の存在によって発症します。歯垢とは虫歯菌や歯周病菌などの細菌のかたまりなのです。つまり歯垢を徹底的に取り除くことができれば、虫歯や歯周病にならないはずです。しかし現実的には「磨いているつもりだが磨けていない」人がほとんどです。歯科医院では、虫歯や歯周病の治療だけでなく、今ある歯を健全に保つにはどのように磨けばよいかをご指導します。
また、虫歯になりにくい歯にするために、フッ素入りの歯磨き粉を使用することは有効です。そしてもう一つ重要なことが砂糖の摂取頻度です。おやつをだらだら食べ続けたり、部活動の水分補給や熱中症対策としてスポーツ飲料を飲用すること、砂糖入り「のど飴」を常用することなどで、虫歯が多発する方が後を絶ちません。
一方歯周病は、歯に強い力が加わることで進行する場合があります。力仕事やスポーツジム通いなど、日常的に奥歯で噛み締めている方、歯ぎしりをする方、冬季の(寒いところでの)無意識な噛みしめなどです。とにかく「噛みしめないこと」です。どうしても避けられない場合、歯科医院では必要によりマウスピースを作製します。
(2)オーラルフレイルについて
咀嚼(そしゃく)という運動は、歯だけでなく舌や唇、頬っぺた(つまり筋肉)による協調作業です。これらの筋肉が衰えた状態(オーラルフレイル)になるとスナック菓子すら噛めなくなる場合があります。その診断材料の一つが「滑舌」です。徐々に発音が不明瞭になってきたら、それは口腔の筋肉(特に舌)の衰えが原因かもしれません。
咀嚼だけでなく、嚥下(えんげ)機能も低下し誤嚥性肺炎の原因にもなりますので、むせやすい方も要注意です。これを予防するために普段から口の筋肉を鍛える運動が推奨されています。日本歯科医師会ホームページの「日歯8020テレビ」で詳しく紹介していますのでご覧ください(YouTubeでも配信されています)。
(3)東松島市歯科医師団の取組
東松島市内の歯科医師は定期的に情報交換の場を設けています。4月の会合では「生涯自分の歯で食すには?」をテーマに議論しました。それには正しい口腔清掃法を身につけていただくことが一番であるという点で意見が一致しました。また歯科疾患も早期発見が大事です。痛くなってからだけでなく、点検のために歯科医院を訪れていただきたいです。市内の全歯科医院は定期健診に対応し、その人に合った正しい磨き方や口腔管理法をご説明します。遠慮なくかかりつけの歯医者さんにご相談ください。
最後に、私たち東松島市歯科医師団は、東松島市民の健口保持のため少しでもお役に立ちたいと願っています。
●87歳で25本の歯 一日4回の歯磨き習慣 歯間ブラシも欠かさず
浅野 哲子(あさのてつこ)さん
小松地区に暮らす浅野哲子さん(87)は、3か月に1度のペースで歯科医院を訪れ、歯の状態を確認してもらい、歯磨きについてのアドバイスをもらっています。入れ歯はなく、自分の歯を25本保っており、雷おこしやラスク、せんべいなど硬いお菓子や漬物を好んで食べるほど、丈夫な歯を維持しています。
起床時、朝食・昼食後、就寝前の計4回磨くのが習慣。「歯科衛生士さんから正しい歯磨きの仕方を教えてもらい、どこをもっと磨くべきか、歯間ブラシも使った方が良いなどアドバイスしてもらい、実践しています」と浅野さん。歯磨き粉は歯周病予防に効果があるものを選び、歯に合った歯間ブラシを選択。自己流で食後にガムを食べているそうです。歯磨きの所要時間は約10分で、力任せではなく、しっかりと歯の隙間や歯茎周辺を意識しているそうです。
食生活では、カルシウムを摂取できるように納豆やチーズ、牛乳などをしっかりとるように心掛けており、朝ごはんをしっかりと食べています。
地域の仲間とのお茶会を楽しみにしており、家事も自分でこなしているほか、庭の手入れも楽しんでいる浅野さん。「口の状態は健康に影響すると聞きます。おかげさまで大きな病気もなく、元気に過ごせています。今後も続けていきたいです」と話していました。