健康 教えてドクター!みんなの健康相談室 vol.3

齋藤雄康医師

Q 喫煙は本当に体に悪いのでしょうか。愛煙家は減ったのに肺がんが増えていると聞きます。(58歳男性)

A こんにちは。JR仙石線陸前小野駅から徒歩5分の場所で開業している「鳴瀬中央医院」院長の齋藤雄康(さいとうゆうこう)です。喫煙に関する質問に関しお答えします。2023年8月現在、喫煙は肺がん含めた多くのがんの原因になっていることが分かっています。有害物質や発がん物質が含まれる紙巻きタバコの煙には、喫煙者が吸い込む主流煙と、火のついた紙巻きタバコから立ち上がる副流煙があります。副流煙を自分の意思と関係なく吸い込むことを受動喫煙と言いますが、受動喫煙も肺がんの大きなリスクになることが分かっています。
最近煙がでない新型タバコ(電子タバコ・加熱式タバコ)を使用する人が増えていますが、発生するエアロゾルや蒸気にも紙巻きタバコ同様、有害物質・発がん物質が含まれており、受動喫煙のリスクも紙巻きタバコ同様にあることが分かっています。
愛煙家が減っても肺がんが減らないのはこのためで、受動喫煙の機会を減らすことが重要になります。また、長年の喫煙や受動喫煙は、徐々に進行する息切れを特徴とした慢性閉塞性肺疾患(COPD)の原因にもなります。40歳以上で頻繁に痰(たん)が絡んだ咳(せき)が出る、坂道や階段の登りで息切れする、風邪を引きやすく治りにくい人は、COPDの可能性が高く、病院を受診した方が良いでしょう。
石巻管内では、石巻赤十字病院に石巻地域COPDネットワーク(ICON)があり、診断確定や初期治療などを受けることができます。COPDが確定したらまず禁煙です。状態が安定したら、治療はかかりつけ医や近隣の医療機関で継続し、年に数回ICON外来でCOPDの状態や肺がんの有無を検査します。COPDも進行すると、自宅での酸素吸入が必要になります。肺がんやCOPDにならないよう、また周囲の大切な人を危険にさらすことがないよう、喫煙者は一刻も早く禁煙しましょう。