- 発行日 :
- 自治体名 : 宮城県利府町
- 広報紙名 : 広報りふ 令和7年11月号
「縄文の光」
スターウォーズが好きです。ライトセイバーやジェダイとダースベイダー、フォース(力)やヨーダのたたずまいやらキャラなどの世界観が最高だと思います。大人になるにつれてシリーズも長くなり、光る剣よりもその物語設定、銀河共和国だとか通商連合とか帝国とか専制などの細部に目が行くようになりました。ただの勧善懲悪ではない物語。その製作者であるG・ルーカスが仙台市博物館にダースベイダーのモデルとなった伊達政宗の鎧を観光にくる、と聞きました。残念ながら高齢で、長旅は厳しいとなってあきらめたとのこと。
「観光」とは、読んで字の如く、光りを観に行く行為。では、他者が時間や資力、体力を使ってまで観にいきたいと思う、その「光」とはなんだろうかと考えます。ちなみに、その光は日本的な感覚であれば、「奥座敷」「奥の院」「奥義」から「奥様」まで、大事なものほど「奥」にしまっておきますので、なかなか目にすることができません。
今、その観光が注目を集めていて、奥にしまってあったものを並べています。自然、飲食、祭り、文化、スポーツ、暮らし、伝統、歴史…とりあえず、光をあててみて、何が喜ばれるかを判断します。興味深いことに、観光に耐え得る何かが、光を浴びて誕生しても、どうしても「影」がついてきます。また、光のみを産もうと試みても、影を同時に作らないと、片手落ちになるから難しいものです。例えばスターウォーズに登場するパルパティーン※みたいに共和国最高議長兼ダース・シディアス(悪役)でもあるようなものです。
観光とは、その土地の光を観に行くこと。しかし、その光が強ければ強いほど、影の、闇の深さも濃くなってしまい、時に、その闇の方が価値を持つ場合があります。スターウォーズの物語のように。今の日本も世界もこの状態に近いような気がしてなりません。ジェダイの騎士よりベイダーが多くいる。ベイダーがクローン兵を組織し始めているのではなかろうかと。理想の「光」よりこのベイダーとジェダイとの戦いを公にして、お客様に観ていただいているのが昨今の政治状況なのかなと思って、傍観したり、眺めていたりします。気を付けないといけないのは、スターウォーズでもその闇から皇帝やら帝国やら独裁政治が誕生します。
世界に冠たる観光地「おくのほそ道」を有する我々東北人にとっての「光」は、日本や世界をおおいつつある「闇」を切り裂く、調和や共生、そして再生に根差した「縄文の光」であってほしいと思うのです。
※パルパティーン…表向きは銀河共和国の最高議長、裏の顔はシスの暗黒卿「ダース・シディアス」を持った、物語の中心的な悪役の一人です。
利府町長 熊谷 大(ゆたか)
