- 発行日 :
- 自治体名 : 秋田県東成瀬村
- 広報紙名 : 広報ひがしなるせ 令和7年8月号
■感染症と口腔ケアの重要性
ジュネスデンタルクリニック 小菅一弘先生監修
感染症と聞くと、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、歯周病やむし歯も感染症の一種です。近年、新型コロナウイルス感染症の流行以降、特に増加しているのが誤嚥性肺炎です。
ウイルスは主に目、鼻、口から体内に侵入し、粘膜や扁桃に付着することで感染を引き起こします。口腔内には常在菌が存在し、その中には粘膜を保護するタンパク質の膜を破壊する細菌もいます。口腔内が不衛生になると、これらの常在菌が増殖し、膜の破壊が進むため、ウイルスに感染しやすくなります。日頃からの適切な口腔ケアは、インフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染症のリスクを低減するのに役立ちます。
また、口腔内の常在菌の中には、肺炎の原因となる細菌も存在します。飲み込みがうまくいかず、これらの細菌が誤って気管に入ってしまうこと(誤
嚥)で、誤嚥性肺炎を引き起こします。この誤嚥性肺炎は令和2年のコロナ禍以降、年々増加傾向にあります。
誤嚥性肺炎の主な原因は以下の3つです。
口腔内の不衛生口腔ケアが不十分だと細菌が増殖します。
口腔機能の低下飲み込みの機能が衰え、むせやすくなると誤嚥が起こりやすくなります。
全身の栄養不良体重減少や栄養の偏りにより免疫機能が低下すると、細菌に感染しやすくなります。
誤嚥性肺炎を防ぐためには、毎日の正しい口腔ケア、口腔の機能を維持・向上させるリハビリ、そして適切な栄養管理が不可欠です。これらの方法について不明な点があれば、かかりつけの歯科医師や保健師など専門職に相談しましょう。