- 発行日 :
- 自治体名 : 福島県国見町
- 広報紙名 : 広報くにみ 令和7年9月号
■第二十七回ちょっぺ森の蛇
松の根を まくらにしたらば 蛇だった
昔、小坂の「ちょっぺ森」という小山に、男が二人で馬を引いて草刈りに行ったそうだ。何せ昔の人は朝が早い。まだ暗いうちに出かけて、せっせと草を刈った。草は六把、馬の背につけて帰ってくるのがお決まりで、四把まで刈ったところで、「ここらでちょっと一休み。うとうとすっぺ」とあたりを見回すと、ちょうど枕にするのに良さそうな根上がり松が笠を広げていたんだそうだ。「ああ、ここが良かんべ」と、二人して横になった。
「ぐわーっ」と鼻いびき。「おめぇの鼻いびきで寝らんねぇ」と一人が言うと、「おれでねぇ」と。もう一人が横になると、また「ふぐぁー」とすごいいびき。お互いに文句を言い合っていると、またまた「ふぐぁー」と大いびきが聞こえた。顏を見合わせながら見上げると、ピカピカ鏡のような大蛇の眼と合ってしまったそうだ。おまけにペロペローっと赤い舌まで出している。
男たちは、刈った草を放り出して、馬の首が抜けるほど引っ張って逃げてきたというお話。