スポーツ はつらつ宮っこ

ID:1008394

■心・技・体の極致へ
合格率0.9%の栄光

山中 佳英(やまなか よしひで)さん
プロフィール
全日本都道府県対抗剣道優勝大会や全日本剣道選手権大会、全日本東西対抗剣道大会、国民体育大会に出場するなど、豊富な経験を持つ。
今年8月には、最高段位の8段に合格した。

今年8月、全日本剣道連盟が主催する審査会において、本市在住の山中佳英さんが、最高段位の8段に合格しました。
剣道8段は最高段位であり、剣道の奥義に精通、成熟し、技量円熟なる人にのみ与えられる称号であり、7段取得後、10年以上の修業を経て審査を受けることができます。本審査の合格率はわずか0.9%と、極めて難易度の高い審査です。審査は、1次審査から3次審査まであり、勝敗ではなく、気迫や姿勢、品格などが重視されます。
9回目の挑戦で悲願の8段合格を果たした山中さんは「審査だからといって特別な気持ちではなく、普段通りを意識して審査に挑んだ。誰が相手だとしても気合いや気迫を変えず、集中を途切らせないことを意識した」と当日を振り返ります。お世話になっている先生方に合格の結果を報告した時には「これまで積み上げてきたものを達成したことで気持ちが高ぶり、うれしいという感情の一方、最高段位としての身の置き方を重く実感した」と話します。
幼稚園児の頃、兄と一緒に剣道を始めた山中さん。これまで基本に忠実に、地道に稽古を重ねてきました。現在は、会社員として勤務しながら、自らの稽古をするだけでなく、少年剣道の育成にも携わっています。仕事の日は、仕事が終わってから週3・4日ほど、休みの日は各稽古会に参加しており、「環境が変わっても剣道はどこでもできる」と、さまざまな道場へ赴き、剣道に合わせてスケジュールを調整するなど、剣道中心の生活を送っています。
山中さんは、これまでの剣道人生を「試合に負けたり、審査に落ちたりしても、壁と感じたことはない。そこには必ず原因があり、自分の課題が明確になって、成長につながる。それを子どもたちに伝えたい」と話します。また、「自分は恵まれている。恩師である白石(しらいし)先生に出会えたことで、普通では出会えない先生方にも出会うことができた。良い巡り合わせに、人の縁を感じている」と感謝を語ります。
今後の目標について「子どもたちの目標となれるよう、恩師の背を追って、剣道を広めていきたい」と、生涯剣道を宣言する山中さん。その剣先は、道を極めた末に至る更なる境地へと向かいます。